空調が巨大クラスター形成の大きな原因か

独西部のギュータースロー郡にある食肉加工工場で新型コロナウイルスの巨大クラスター(感染者集団)が発生したのは、空調設備がウイルスを屋内の広い範囲に拡散させたためとの見方が浮上している。同郡の委託を受けて工場の実地調査を実施したボン大学衛生・公衆衛生研究所のマルティン・エクスナー所長が表明したもので、感染拡大の主要原因のひとつと指摘している。

ギュータースロー郡ではレーダ・ヴィーデンブリュック市にある食肉加工大手テンニースの本社工場で新型コロナのクラスターが発生したことが17日に判明した。就労者7,000人のうち1,500人以上が感染している。

感染者は豚の半身を解体していく部署で特に多く、同部署では就労者の3分の2が感染した。感染拡大の主要原因としてはこれまで、低温・高湿度というウイルスの繁殖に適した環境下で大きな呼吸を必然的に伴う重労働が行われていたことが指摘されていた。

エクスナー所長は今回の調査を受けて、空調も大きな原因となった可能性が高いとの結論に至った。

解体ホールでは室温を常に6~10度に保つためにクーラーを使用。クーラーは室内の空気を熱交換器で冷却したうえで同ホールへと戻している。このためホールから吸い込んだ空気にウイルスが含まれているとクーラーを通してホールの広い範囲にウイルスがまき散らされることになる。同所長は6月24日の記者会見で、ウイルスを不活性化するための紫外線照射装置と、高性能フィルターの設置が感染拡大の防止につながるとの見方を示した。

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