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2020/7/8

総合 - ドイツ経済ニュース

乗用車新車登録、今年は23%減少見通し

この記事の要約

ドイツ連邦陸運局(KBA)が3日発表した6月の乗用車新車登録台数は22万272台となり、前年同月比で32.3%減少した。減少幅は4月(61.1%)と5月(49.5%)を下回ったものの、新型コロナ危機が響いて依然として大き […]

ドイツ連邦陸運局(KBA)が3日発表した6月の乗用車新車登録台数は22万272台となり、前年同月比で32.3%減少した。減少幅は4月(61.1%)と5月(49.5%)を下回ったものの、新型コロナ危機が響いて依然として大きい。上半期は前年同期比34.5%減の121万622台となり、東西ドイツ統一後の最低を記録した。独自動車工業会(VDA)は同日、2020年の乗用車新車登録台数が前年比24%減の約280万台に落ち込むとの予測を提示した。世界・欧州市場も大幅に縮小しており、VDAのヒルデガルト・ミュラー会長は「市場崩落の規模とそのグローバルな広がりは前例がない」と危機感を表明した。

同国では新型コロナの感染拡大を防ぐために実施されていた小売店の営業制限が4月20日に緩和され、自動車販売店は同日から営業を再開できるようになった。だが、景気と雇用情勢の悪化を背景に消費者心理と企業の投資意欲は強く冷え込んでおり、来店者が少ない状態が続いている。こうした事情を受けて6月も新車登録が大きく落ち込んだ。マイカーとしての登録は前年同月比で38.2%、社用車は同29.0%減少している。

6月の新車登録を動力源別でみると、大幅に落ち込んだのは内燃機関車で、ガソリン車は42.2%、ディーゼル車は34.5%減少した。新車に占める割合はガソリン車が51.5%、ディーゼル車が30.6%。

環境対応車は補助金を追い風に新車登録が軒並み増加した。電気自動車(EV)は41.0%増の8,119台、ハイブリッド車(HV)は60.8%増の3万254台、プラグインハイブリッド車(PHV)は274.4%増の1万479台へと拡大した。シェアはEVが3.7%、HVが13.7%、PHVが4.9%となった。

新車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素(CO2)排出量は平均150.2グラムで、前年同月を4.3%下回った。

車種別でみると、新車登録が増えたのはキャンピングカー(62.2%増)のみで、そのほかはすべて減少した。ミニバンでは減少幅が63.4%に達した。

日本車は3ブランドが増加

新車登録台数が増えた主要ブランドは三菱(11.2%増の4,654台)、ホンダ(2.8%増の1,064台)、スバル(2.6%増の352台)、フィアット(1.5%増の9,141台)だけだった。

ドイツ車はポルシェが0.5%減の2,407台、メルセデスが8.7%減の2万1,970台、ミニが23.8%減の3,239台、BMWが29.4%減の1万8,075台、アウディが35.3%減の1万5,597台、フォードが35.6%減の1万6,145台、VWが37.2%減の3万9,126台、オペルが52.3%減の9,764台、スマートが83.6%減の580台。

増加3ブランド以外の日本車は日産が25.8%減の2,477台、トヨタが35.0%減の4,973台、レクサスが43.6%減の241台、マツダが50.8%減の2,986台、スズキが66.6%減の1,212台だった。

日本車以外の主な輸入ブランドはボルボが1.0%減の4,647台、ジープが8.4%減の1,310台、ランドローバーが8.4%減の921台、プジョーが24.9%減の4,815台、シトロエンが26.4%減の4,008台、ルノーが27.3%減の1万642台、ジャガーが29.0%減の520台、シュコダが32.1%減の1万3,595台、セアトが36.4%減の8,993台、起亜が38.6%減の4,110台、DSが38.6%減の181台、現代が42.2%減の6,414台、双竜が43.2%減の151台、テスラが47.6%減の841台、アルファロメオが50.5%減の184台、ダチアが51.4%減の3,452台となっている。

上半期の新車登録台数が前年同期を上回った主要ブランドはなかった。

一方、VDAが同日発表した6月の国内乗用車生産台数は30万800台で、前年同月を20%下回った。輸出台数は21%減の20万5,400台。1~6月は生産台数が前年同期比40%減の149万100台、輸出台数が40%減の110万7,000台だった。

自動車需要の世界的な落ち込みを受けて雇用の削減が避けられない状況となっている。下半期は需要の緩やかな回復が見込まれるものの、雇用を維持するには規模が小さ過ぎるためだ。VDAは4月末時点の国内業界就労者数が前年同日を3%下回る81万4,000人に減少したことを指摘。年末までにさらに縮小する見通しを明らかにした。特に中堅サプライヤーの状況が厳しいとみている。