鉄鋼系複合企業の独ティッセンクルップは6月30日、同社製水電解水素製造プラントを送電網の電力需給調整に投入するテストをエネルギー大手のエーオンと共同で実施し、成功したと発表した。同プラントは必要に応じて柔軟かつ迅速に電力を供給するという電力需給調整市場の参加要件を満たしており、同プラントを持つ顧客企業はイーオンの仮想発電所を通して独電力市場に連結できるようになった。
ドイツでは再生可能エネルギー電力の普及拡大を受けて、電力の需給調整が難しくなっている。再生エネは発電量を風力や太陽光など天候に大きく左右されるためだ。供給量が不安定な再生エネを補うためには火力や原子力などの在来型発電所が活用されているが、両社は水電解プラントも電力需給調整に活用できることを実証した。
ティッセンの水電解プラントでは、再生エネで過剰に生産された電力を用いて水素を生産し貯蔵。必要に応じてこれを化学品の生産や燃料電池車の動力源に用いるほか、再電力化して電力市場で販売できる。送電網の電力が不足している場合は30秒以内に電力を供給できるという。