ドイツ連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)は3日、石炭発電廃止法案をそれぞれ可決した。これで同国は早ければ2035年、遅くとも38年までに石炭発電を全廃することが確定。ペーター・アルトマイヤー経済相は「ドイツの化石燃料の時代はこの決定で不可逆的に終焉することになった」と述べた。
独政府は昨年、諮問委員会(石炭委員会)の答申を受けて、石炭発電の全廃方針を決定した。ドイツは再生可能エネルギーに軸足を置いたエネルギーミックスの実現を目指しており、原子力発電については22年末に廃止することがすでに決まっている。世界で初めて原子力と石炭発電をともに全廃する国となる。
石炭発電と、石炭の一種である褐炭の採掘を廃止すると、これらの事業を運営する企業は経済的な損失を受け、被用者にも大きなしわ寄せが出ることから、国(連邦)は補償金を支払う。褐炭4州(ノルトライン・ヴェストファーレン、ザクセン、ザクセン・アンハルト、ブランデンブルク)にも総額400億ユーロを提供し、炭鉱地域の産業構造転換などを支援していく。