独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)は7日、米IT大手グーグルと戦略協業することで基本合意したと発表した。グーグルのクラウドサービスを利用するほか、ITベースの次世代金融商品を共同開発していく。今後数カ月で本契約を結ぶ見通しだ。
グーグルとの協業により、クラウドサービスへの移行を加速するほか、ITアーキテクチャーを刷新する。また、グーグルが持つデータ管理、人工知能(AI)、機械学習などの技術を活用し、顧客向けのサービスや新しい事業モデルを開発していく。クリスティアン・ゼーヴィング頭取は「わが行の将来はデジタル化の成功と密接に結びついている」と述べ、グーグルとの協業が今後の事業の成功を大きく左右するとの見方を示した。
ドイツ銀では老朽化した様々なITシステムが互換性のないまま使用されており、これが刷新を妨げる大きな要因となっている。この問題の解決を2012年に独IT大手のSAPに委託したものの失敗。ジョン・クライヤン前頭取は就任当時の15年、同行のITシステムを「シラミがわいている」と批判した。だが、解決の糸口はその後も見つかっていない。
金融業界では米IT大手などの新規参入や情報通信技術を駆使したフィンテックの登場を受けて、IT分野の競争力を高める必要性が高まっている。ドイツ銀はグーグルとの協業により、これらの課題をクリアしていく意向だ。