郡全域のロックダウンは違法、州政府の措置を裁判所が無効化

食肉工場で新型コロナウイルスの巨大のクラスター(感染者集団)が発生したことを受けて独西部のノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州政府がギュータースロー郡全域をロックダウン(都市封鎖)していることは違法との決定をNRW州高等裁判所が6日、下した。これによりロックダウンは即日付けで解除された。

NRW州ではギュータースロー郡レーダ・ヴィーデンブリュック市にある食肉加工大手テンニースの本社工場で新型コロナのクラスターが発生したことが6月17日に明らかになった。感染者数は1,500人を突破。同工場で働く7,000人が家族とともに隔離された。事態を重くみた州政府は23日、同郡と隣接するヴァーレンドルフ郡を対象に1週間のロックダウンを再導入した。

このうちヴァーレンドルフ郡については人口当たりの感染者数が警戒水準(住民10万人当たりの新規感染者数が7日間で計50人超)を大きく下回っていることが確認されたため、6月末で解除した。一方、ギュータースロー郡は112.6人(テンニース社員を除くと22.5人)と大きく上回っていたことから、7日まで1週間、延長することを決めた。

これを不当としてゲームセンター運営事業者が提訴。NRW州高裁は、ギュータースロー郡全体のロックダウンは感染がどの程度、広がっているかが分からなかった当初の時点では妥当な措置だったが、郡内の市町村によって新規感染者の数が大きく異なっていることが明らかになっている現時点でも郡全域をロックダウンの対象とし続けることは、感染拡大防止という目的を達成する手段としてバランスの取れた政策とは言えず、平等原則に反すると言い渡した。ロックダウンは感染者数が多い市町村に限定しなければならないという判断だ。

独政府と国内16州の政府はロックダウンの緩和を取り決めた5月初旬の遠隔会議で、住民10万人当たりの新規感染者数が7日間で計50人を超えた郡と特別市(主に大都市と中都市)では制限措置を再び強化することで合意した。NRW政府はこれに基づいて郡全域のロックダウンを実施したが、国内で今後、警戒水準を超える郡・特別市が出てきた場合、各州政府は今回の判決を踏まえ、ロックダウンの対象地域と期間を必要最低限に抑える必要がありそうだ。

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