ダイムラー―コスト削減強化へ、上期乗用車販売は21%減―

自動車大手の独ダイムラー(シュツットガルト)は8日のバーチャル株主総会で、コスト削減の強化方針を明らかにした。新型コロナ危機を踏まえた措置で、オラ・ケレニウス社長は、昨年打ち出したコスト削減計画は車両の電動・IoT化に対応するためのものであり、世界的な景気後退を想定したものではないと指摘。これまで以上に踏み込んだ取り組みが必要不可欠になっていると強調した。コスト削減の具体的な数値は提示していないものの、ヴィルフリート・ポート取締役(人事担当)は独メディアに、従業員1万5,000人以上を整理する考えを明らかにした。

同社は昨年11月、収益力の強化方針を発表した。排ガス規制の強化と車両の電動・IoT化を背景に利益が圧迫されているためで、事業プロセス・構造のスリム・効率化を通して2022年までにコストを15億ユーロ以上圧縮。世界の従業員30万人のうち1万人以上を整理することになっていた。経営陣はこれに5,000人を上乗せする意向だ。ケレニウス社長は生産能力の調整方針を明らかにした。

独自動車工業会(VDA)によると、新型コロナ危機を受けて世界の乗用車市場規模は今年、前年比17%減の6,600万台弱へと大幅に縮小する見通し。完成車メーカーとサプライヤーは対応を迫られている。

ダイムラーの上半期(1~6月)の乗用車販売台数は94万5,190となり、前年同期を20.9%下回った。小型車ブランド「スマート」が83.3%減の1万101台と激減。主力の「メルセデスベンツ」も17.6%減の93万5,089台と振るわなかった。

地域別でみると、足元の欧州が31.5%減の31万3,490台と大きく落ち込んだ。北米は16.0%減の14万6,538台。アジア太平洋は4.2%減の45万8,253台と減少幅が小さく、同地最大の中国は0.4%増の34万6,067台とやや拡大した。

第2四半期(4~6月)の乗用車販売台数は前年同期比23.9%減の46万1,949台。メルセデスが20.2%減、スマートが87.3%減だった。地域別では欧州が46.5%、北米が24.7%落ち込んだのに対し、アジア太平洋は8.9%増加した。中国が21.6%増と好調だった。