スイスの機械メーカー、マイヤー・ブルガー・テクノロジー(トゥーン)は9日、独東部で太陽電池を生産する計画を発表した。経営破綻した企業の工場を利用することで投資コストを抑制。太陽電池をセルも含めてすべて欧州で生産し、欧州セル市場をほぼ独占するアジア系メーカーに対抗していく。
ビターフェルトヴォルフェンにある太陽電池セル工場を低価格で借り受ける。同工場は2012年に経営破綻したセルメーカー、ソヴェロが運営していたもので、マイヤー・ブルガーは差し当たり2万7,000平方メートルの敷地と建造物を賃借する。必要に応じて賃借面積を増やす考えだ。
同工場から南東に150キロのフライベルクでも、18年に経営破綻した太陽電池大手ソーラーワールドの工場を取得し、次世代モジュールを生産する。
セル工場とモジュール工場は生産能力がそれぞれ年400メガワット(MW)で、来年上半期から操業を開始する。将来的には生産能力を5ギガワット(GW)へと引き上げることを視野に入れている。
2工場の賃借・取得価格およびその他の投資額は明らかにしていない。必要な資金は1億6,500万スイスフランの増資で賄うとしている。
マイヤー・ブルガーは太陽光発電モジュールの製造装置メーカー。経営は思わしくなく、19年の売上高はピーク時13億フラン強(11年)から5分の1の2億6,200万フランへと縮小している。純損益は赤字続きだ。
経営陣は起死回生に向けて太陽電池製造事業への参入を決めた。これにより顧客のモジュールメーカーとは競合関係に入ることになる。