ドイツのスタートアップ企業が上半期に投資家から調達した資金の総額は22億200万ユーロとなり、前年同期比で22%減少したことが、コンサルティング大手アーンスト・アンド・ヤング(EY)の調査で分かった。新型コロナウイルス感染症の流行を背景に調達額1億ユーロ超の大型案件が7件から2件へと減少したことが響いた格好だ。資金調達件数は8%増の360件となり、半期ベースでは昨年下半期に次いで2番目に高い水準を記録した。
資金調達件数が最も多かった州はこれまで同様ベルリンで、全体の41%に上る149件に達した。これにバイエルン(83件)、ノルトライン・ヴェストファーレン(32件)、バーデン・ヴュルテンベルク、ハンブルク(ともに17件)が続く。
資金調達額もベルリンがトップで、11億3,500万ユーロに上った。ドイツ全体の52%を占める。2位バイエルンは前年同期の約3.8倍の7億7,300万ユーロと大幅に伸び、3位のバーデン・ヴュルテンベルク(1億500万ユーロ)を大きく引き離した。
分野別ではソフトウエア/アナリティクスが最も多く、前年同期比12%増の112件を記録。これに健康が61件(前年同期47件)、Eコマースが43件(49件)、モビリティが27件(26件)、フィンテック/インシュアテックが26件(30件)で続いた。
ソフト/アナリティクスは金額ベースでも最も多く、30%増の5億100万ユーロを記録した。2位はモビリティで4億3,400万ユーロ(6億5,900万ユーロ)、3位はフィンテック/インシュアテックで3億1,300万ユーロ(7億400万ユーロ)、4位はEコマースで2億8,500万ユーロ(2億800万ユーロ)、5位は健康で2億5,100万ユーロ(3億300万ユーロ)となっている。
資金調達額1位の企業は空飛ぶタクシー開発のリリウムで、2億1,800万ユーロに上った。これにEコマースのグローバーが1億9,500万ユーロで続いた。3位はフィンテックのN26(9,100万ユーロ)だった。
ソフト/アナリティクスの資金調達額を分野別でみると、最も多かったのはSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)で3億2,300万ユーロに達した。2位の人工知能(1億2,100万ユーロ)を大きく引き離している。3位のサイバーセキュリティは2,100万ユーロ、4位のデータアナリティクスとブロックチェーンは各1,400万ユーロにとどまった。
モビリティでは航空が2億8,900万ユーロと全体の67%を占めた。リリウム1社で2億1,800万ユーロに達したことが大きい。2位は自動車で5,900万ユーロ、3位はスクーターで5,600万ユーロだった。