シュツットガルト近郊のルートヴィヒスブルクに拠点を置くスタートアップ企業ロードジェットが長距離バス市場に参入する計画だ。同社は料金競争が激しいなかで、あえてプレミアムサービスを提供。ニッチな存在として市場の一角に食い込めるとみている。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
ドイツの長距離バス市場は2013年に自由化された。これを受けて多くの企業が参入。激しい競争の結果、現在はフリックスブスが95%以上のシェアで断トツの最大手となっている。
ただ、料金が安いため、サービスの質も低く、座席の間隔は狭い。これを窮屈に感じる消費者は少なくない。
ロードジェットはこれに着目。座席数を一般的な長距離バスの半分以下の44席に抑え、足を広く伸ばせるようにした。新型コロナウイルス感染症が流行していることから、周囲の乗客と距離を保てることは有利に働く。同社はこのほか、◇マッサージと暖房機能付きのシート採用◇高速インターネット接続サービス◇洗濯・更衣室の設置――を通して差別化を図る意向だ。
車両はスカニア製のシャシーをベースに作製した。1台当たりの調達費用は50万ユーロを大幅に超えたという。
まずは8月3日から、シュツットガルト~ベルリン間で運行を開始する。その後さらにシュツットガルトとハンブルク、ミュンヘンなどを結ぶ4路線を追加する計画だ。
これら5路線のバスは自ら運行し、運転手も自社の社員を投入する。これにより長距離バス事業のノウハウを獲得する考え。将来的にはフランチャイズ方式で事業を拡大していくことを視野に入れている。
事業資金の一部は地元バーデン・ヴュルテンベルク州のスタートアップ支援ファンドから調達した。