独銀最大手のドイツ銀行(フランクフルト)が7月29日発表した2020年4-6月期(第2四半期)決算の税引き前損益は1億5,800万ユーロの黒字となり、前年同期の赤字(9億4,600万ユーロ)から大幅に改善した。組織再編が奏功した格好で、西サンタンデールや英バークレイズなどの競合が新型コロナ危機で苦戦するなか、業績を拡大した。クリスティアン・ゼーヴィング頭取は従業員宛ての文書で「ドイツ銀行が強みを持つ分野に経営資源を集中するという決断が報われた」と強調。「再編の成果は今後、ますます鮮明になっていく」と明言した。
貸倒引当金は7億6,100万ユーロとなり、前年同期の1億6,100万ユーロから大幅に膨らんだ。新型コロナ危機で顧客企業の財務が悪化していることが反映された格好だが、ゼーヴィング頭取は引当金の額はピークに達したと述べ、今後は増えないとの見方を示した。
株主帰属の純損益は7,700万ユーロの赤字となった。ただ、赤字幅は前年同期の32億7,200万ユーロから大幅に縮小している。
業績をけん引したのは投資銀行部門で、税引き前利益は前年同期の2億1,800万ユーロから約4.4倍の9億5,600万ユーロへと拡大した。新型コロナ危機を受けて債券、通貨・金利商品市場が活性化したことが大きい。
リテール部門は2億4,100万ユーロの税引き前赤字を計上した。新型コロナ危機と低金利が響いた。
米格付け大手ムーディーズは、ドイツ銀は組織再編により危機対応能力が高まったとして、「コロナウイルスのパンデミックの影響を乗り越える」ことができるとの見方を示した。