キアゲン―米サーモフィッシャーのTOBが失敗―

米計測機器・試薬大手サーモフィッシャー・サイエンティフィックは13日、オランダに本社を置くドイツ系のバイオインフォマティクス大手キアゲンに対する株式公開買い付け(TOB)が失敗したと発表した。キアゲンの大株主の多くがTOBに応じなかったことから、期限内に確保できた株式が47%にとどまり、成立条件である同「3分の2以上」を大幅に下回った。

サーモフィッシャーは3月3日、キアゲンを1株当たり39ユーロで買収する意向を表明した。これは前日終値を約23%上回る水準で、同社を225億ドル(104億ユーロ)と評価した格好。75%以上の株式確保をTOBの成立条件としていた。

これに対し有力株主の多くがキアゲンの価値が大幅に過小評価されていると批判したことから、サーモフィッシャーは買い取り価格を43ユーロに引き上げるとともに、TOBの成立条件を株式3分の2以上の確保へと引き下げた。それでも株主の過半数を説得できなかった。

TOB失敗の背景には新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受けて、これまで低迷していたキアゲンの業績が急速に改善したことがある。同社が製造する新型コロナの感染検査キットは需要が極めて大きく、2020年4-6月期(第2四半期)の売上高は前年同期比16%増の4億4,330万ユーロへと拡大。純利益は101%増の8,980万ユーロを記録した。業績は今後も拡大する見通しだ。

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