メルセデスベンツ―セル開発でCATLと協業―

ダイムラーの乗用車・バン子会社メルセデスベンツ(シュツットガルト)は5日、中国の電池大手、寧徳時代新能源科技(CATL)と協業合意したと発表した。車載電池の研究開発協業を通して電池性能の向上を加速させ電動車の販売に弾みをつけるとともに、製品ライフサイクル全体で排出する二酸化炭素(CO2)の量(カーボンフットプリント)を削減する考えだ。

メルセデスベンツは昨年、二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする「カーボンニュートラル」を2039年までに実現するとの目標を打ち出した。その達成に向けて電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の販売比率を大幅に拡大。生産面では欧州の全工場の使用電力を22年までに再生エネへと切り替える。

サプライヤーにもCO2の排出削減を求める方針で、サプライヤーがどのような方法で同削減を実現できるかを協議し、CO2削減目標で一定基準を満たしたサプライヤーからのみ部品を調達する。

CATLとの今回の協業合意はこれを踏まえたもので、電池セルからモジュール、パックに至る全分野で協業。航続距離が長く充電時間が短い電池の開発を加速する。これにより電動車を購入する消費者を増やす考えだ。協業にはセルをモジュール化せず直接パックに入れるセル・ツー・パック(CTP)技術も含まれる。

メルセデスベンツが来年市場投入するEVセダン「EQS」では航続距離700キロ超を実現する。充電時間も現行モデルの半分に短縮する計画だ。CATLは同モデル向け電池の主要サプライヤーとなる。

メルセデスベンツは他の電動車用の電池もCATLから調達する意向で、欧州で生産する車両向けの電池は、CATLが独中部のエアフルトで建設中の工場から供給を受ける。

電動車のカーボンフットプリントを改善するため、メルセデスはCATLに対し、電池生産用の電力を再生可能エネルギーとすることを義務付ける。これにより電池のカーボンフットプリントを30%改善する意向だ。

セル原料サプライチェーンのCO2排出削減に向けては、ブロックチェーン技術を活用するパイロットプロジェクトを両社は今年初に開始した。まずはサプライチェーンでのCO2排出量、およびリサイクル原料の投入比率を明確に把握する狙い。リサイクル原料の使用増を通して新規採掘資源への依存度を引き下げていく考えだ。

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