EUが独キュアバックからワクチン調達へ

欧州連合(EU)の欧州委員会は20日、独バイオ医薬品会社キュアバックとの間で新型コロナウイルスのワクチン確保に向けた予備的交渉を終えたと発表した。臨床試験でワクチンの有効性と安全性が確認された場合、まずEU加盟国向けに2億2,500万回分を確保し、段階的に追加調達して発展途上国などに無償提供できるようにする。

欧州委のフォンデアライエン委員長は「EU市民と世界の人々が速やかに安全なワクチンを入手できるよう調整を進めている。製薬業界との協議が進展するたびに、新型コロナとの闘いで勝利に近づく」と強調。引き続き複数の製薬会社との交渉を加速させる考えを示した。

キュアバックは米モデルナなどと同様、メッセンジャーRNA(mRNA)を利用した新型コロナのワクチン開発を進めている。同社にはドイツ政府や英グラクソ・スミスクライン(GSK)、カタール投資庁などが出資しており、7月には欧州投資銀行(EIB)が7,500万ユーロの融資に合意した。今月13日にはニューヨーク市場で新規株式公開(IPO)を行い、2億1,300万ドルを調達している。

キュアバックは6月に臨床試験(治験)を開始した。第4四半期には大規模な第3相試験を開始する計画で、2021年半ばの承認を目指している。ロイター通信によると、欧州委との交渉ではEU加盟国向けの2億2,500万回分に加え、途上国向けとして1億8,000万回分を追加供給する方向で調整が進められている。

EUは全ての加盟国にワクチンが行き渡るよう、複数の製薬会社との間で有望視されるワクチンの先行確保に向けた交渉を進めている。欧州委は24日までにGSKと仏サノフィの連合、英アストラゼネカ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、モデルナからも調達することで合意しており、調達先は現時点で5社・連合に上る。

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