独化学・製薬業界で研究・開発(R&D)投資を抑制する動きが広がっている。新型コロナ危機を受けて化学分野を中心に先行き見通しの不透明感が強まっているためで、独化学工業会(VCI)研究・科学・教育委員会のトーマス・ヴェッセル委員長は、業界のR&D投資が今年は10年ぶりに減少する見通しを明らかにした。
VCIが会員企業を対象に実施したアンケート調査によると、研究開発投資を「先送りする」との回答は27%に上った。2%は同投資を「全面的に取りやめる」と答えている。「計画通り実施する」は60%、無回答は11%だった。
特に外部への研究委託を減らす動きが目立つ。資金繰りの重要性がにわかに高まっていることが背景にあるとみられる。
独業界の研究開発投資は2011年から9年連続で拡大。昨年は前年比3%強増の130億ユーロとなり、過去最高を更新した。同投資額のうち81億ユーロを製薬業界が占める。化学は49億ユーロだった。
「欧州での投資とR&Dを今後、強化しますか」との質問に対しては21%が「全面的にはい」、26%が「どちらかと言えばはい」、28%が「部分的にはい」と回答。「いいえ」は計25%にとどまった。