スイス食品大手のネスレ(ヴヴェイ)は8月31日、米国の製薬会社アイミューン・セラピューティクスを完全買収することで合意したと発表した。医薬品事業を強化する。
アイミューンはアレルギー治療薬を開発・製造しており、ピーナッツアレルギー治療薬「パルフォルジア」は今年初、米食品医薬品局(FDA)の承認を獲得した。欧州連合(EU)でも年内の承認が見込まれている。
ネスレは子会社ネスレ・ヘルス・サイエンス(NHSc)を通して同社株をすでに25.6%保持している。残り74.4%を1株当たり現金34.50ドルで取得する。これは前営業日に当たる28日の終値を174%上回る水準で、アイミューンを26億ドルと評価したことになる。
アイミューンはこれまで、売り上げをほとんど獲得してこなかった。それにも関わらずネスレが高額買収を目指すのはパルフォルジアが年商10億ドル超のヒット商品(ブロックバスター)に成長する可能性を秘めているためだ。
ネスレによると、食品アレルギーに苦しむ人は世界で2億4,000万人に上る。ピーナツアレルギー患者は最も多い。