カーボンニュートラル(炭素中立)を実現する合成燃料、「eフューエル」の開発プロジェクトを、フォルクスワーゲン(VW)の高級乗用車子会社ポルシェ(シュツットガルト)が開始する。二酸化炭素(CO2)排出規制が今後、一段と強まるなかで内燃機関車を販売し続けていくためには、CO2排出を差し引きでゼロにする技術の確立が必要不可欠であるためだ。ミヒャエル・シュタイナー取締役(開発担当)が1日のネットイベントで明らかにした。
eフューエルは水の電気分解で製造した水素とCO2を触媒で反応させて合成した燃料。電気分解の電力に再生エネを用いればCO2を発生させることなく作ることができる。自動車の走行でCO2が排出されても、再びeフューエルの製造に投入されることから、炭素中立が実現。CO2排出規制が大幅に強化されても、内燃機関車を販売していくことが可能になる。
製造コストが高いことが実用化のネックとなっていることから、ポルシェは低コスト化に向けて開発チームを立ち上げた。外部の研究機関や企業と共同でパイロット設備を作り、商業化の可能性を模索していく。関心を持つサプライヤーなどとすでに協業に向けた協議を行っている。
シュタイナー取締役は量産技術の確立と、CO2排出有料化に伴うガソリンなど既存燃料の高価格化により、eフューエルは2020年代にも実用化される可能性があるとの見方を示した。