バイオ医薬品開発の独キュアバック(テュービンゲン)は4日、独連邦教育・研究省(BMBF)から最大2億5,200万ユーロの補助金を受給すると発表した。国の支援を受けて新型コロナウイルス用ワクチンの開発を加速するとともに、生産体制を強化する。
開発の進捗度に応じて今年は最大1億300万ユーロ、来年は同1億4,900万ユーロの支援を受ける。同社は7月、BMBFに補助金の受給申請を行っていた。
キュアバックはタンパク質合成のための情報を持つRNA分子であるメッセンジャーRNA(mRNA)をベースとする医薬品の開発に取り組んでいる。体内に侵入した病原体を撃退するためのたんぱく質の製造情報を、mRNAを通してヒトの細胞に伝達する技術を持つ。
同社はこの技術を用いて新型コロナワクチンを開発しており、6月には治験の第一段階に当たる第1相臨床試験を開始した。順調に行けば来年春から夏にも当局の認可を得る見通しだ。ドイツ政府は今回の補助金交付により、キュアバックが生産する新型コロナワクチンの一部を確保する。
キュアバックには6月に独政府が政策金融機関KfWを通して3億ユーロを出資した。ワクチン開発を支援するとともに、外資による買収を阻止することが狙いだ。同社はその後、英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)とカタール投資庁(QIA)からも投資資金を調達。8月には米ナスダックで新規株式公開(IPO)も実施した。KfWの出資比率は現在、17%弱に上る。