自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW、ヴォルフスブルク)は4日、エーゲ海南部のアスティパレア島を環境に優しくスマートな交通のモデル地区にすることでギリシャ政府と基本合意した。VWグループは二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量を同量とする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成するという目標を打ち出しており、同島でのプロジェクトを脱炭素戦略の青写真とする考えだ。VWのヘルベルト・ディース社長は「(万人のためのカーボンニュートラルなモビリティという)ビジョンをどうすれば現在でも実現できるかを、アスティパレア島のプロジェクトを通して見つけたい」と狙いを語った。差し当たり6年間、実施する。
アスティパレア島は面積100キロ平方メートル、人口1,300人の観光地で、年7万2,000人の観光客が訪れている。公共交通機関は未発達で路線バスの数は2台にとどまる。電力は主に火力発電で賄っている。
今回のプロジェクトでは電気自動車(EV)を用いたライドシェア、カーシェアのほか、電動アシスト自転車、電動キックボードなどスマートモビリティサービスを提供。これにより島内の車両総数を現在の1,500台から1,000台へと減らす。また、車両を内燃機関車から電動車へと切り替えていく。さらに、充電しやすい環境を整えるために充電ボックスを島内全域に設置する。
火力発電の電力を用いたのではカーボンニュートラルを実現できないことから、島内に太陽光と風力発電設備を設置し、主な電源を火力から再生可能エネルギーへと切り替えていく。
プロジェクトにはグループブランドのVWブランド乗用車、セアト、VWブランド商用車、エリ(充電・エネルギーサービス)、UMIアーバン・モビリティ・インターナショナル(移動サービス)が参加する。