化学大手の独BASF、印複合企業アダニ・グループ、アラブ首長国連邦アブダビ国営石油会社(ADNOC)、墺石油化学大手ボレアリスの4社は5日、インドに化学コンプレックスを共同建設するプロジェクトを凍結すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて世界経済の不透明感が高まったことに対応。今後は市場条件を定期的に検討し、プロジェクト再開の可能性を模索していく。実行可能性調査については完了したことを明らかにした。
4社は2019年10月、プロパンから水素を除いてプロピレンを精製するワールドスケールのプロパン脱水素装置(PDH)を共同で設置することで合意した。計画では◇プロパンをADNOCが供給◇同PDHで製造されたプロピレンの一部をADNOCとボレアリスの現地合弁工場で利用◇残りをBASFとアダニの合弁工場に供給し、ブタノール、2-エチルヘキサノール、氷アクリル酸(GAA)、アクリル酸ブチル(BA)などの原料として利用――することになっている。プロジェクトの規模は最大40億ドル。これまでは24年の生産開始を見込んでいた。