半導体ウエハー世界4位の独シルトロニック(ミュンヘン)は10日、同3位の台湾企業、環球晶円(グローバルウェーハズ)に同社を売却することで合意したと発表した。事業規模を拡大して価格競争力を高める狙い。取引が実現すると環球晶円はSUMCOを抜いて業界2位に浮上し、最大手の信越化学工業の背中をとらえる見通しだ。
環球晶円は株式公開買い付け(TOB)を実施し、シルトロニックを1株当たり現金125ユーロで買収する。これは買収交渉が進展した段階にあることを公表する直前の営業日(11月27日)までの90日間の加重平均株価を48%上回る水準で、27日の終値に比べても10%高い。全株式を取得し場合の買収総額は37億5,000万ユーロに上る。
65%以上の株式確保をTOBの成立条件としている。シルトロニックの筆頭株主である独化学大手ワッカー・ケミーは保有するシルトロニック株30.8%を環球晶円に全量、譲渡する契約に署名しており、他の株主34%強が応じればTOBは成立する。
買収の実現には貿易法と独禁法上の承認が必要となる。シルトロニックのクリストフ・フォン・プロート社長は、独政府や米国の対米外国投資委員会(CFIUS)が承認を拒否する可能性は低いとの見方を示した。来年下半期の取引完了を見込んでいる。
環球晶円は買収後も2024年まではシルトロニックがドイツに持つ拠点と雇用を維持することを確約した。独ブルクハウゼンの研究開発拠点も閉鎖しない。