失業者数が7年ぶりに増加、今年は減少見通し

ドイツ連邦雇用庁(BA)が5日発表した2020年の平均失業者数は269万5,000人となり、前年を42万9,000人上回った。新型コロナウイルスの流行とロックダウンなどの感染防止策が響き、7年ぶりに増加した。BAのデートレフ・シェーレ長官は、操短手当制度の効果で失業者の増加幅が抑制されたと述べ、同制度がなければ雇用情勢は一段と悪化していたとの見方を示した。

操短手当は操業短縮で目減りした賃金の60%ないし67%をBAが肩代わりで支給する制度。コロナ禍を受けて政府は受給可能期間を延長するとともに、4カ月目から受給額を引き上げる時限措置を導入した。

操短手当の受給者はピーク時の4月に約600万人に達し、08~09年の金融・経済危機時に記録したこれまでの最高(140万人)を大幅に上回った。宿泊・飲食業界では被用者の63%、製造業でも同27%が手当てを受給した。

20年の平均失業率は5.9%で、前年を0.9ポイント上回った。

新型コロナ用ワクチンの接種が始まったこともあり、今年は雇用情勢が改善する見通しだ。シェーレ長官は失業者数が約10万人、減少するとの見通しを示した。

一方、12月の失業者数は270万7,000人となり、前月を8,000人上回った。12月は例年、失業者数が増加するという事情があり、季節要因を加味した実質では3万7,000人減少した。失業率(名目)は横ばいの5.9%だった。

失業者数は前年同月比では48万人増加。失業率は同1.0ポイント上昇した。

国際労働機関(ILO)基準の11月の失業率は前月と同じ4.4%だった。

新規に操短の届け出対象となった被用者の数は12月1~28日に計66万6,000人となり、2カ月連続で高水準に達した。ロックダウンの再導入が響いた格好だ。

国の操短手当の受給者は10月時点で199万人(暫定値)となり、6カ月連続で減少した。ピーク時の4月に比べると、3分の1に減っている。

12月の求人件数は58万1,000件で、前年同月を10万5,000件下回った。季節要因を加味した前月比では5,000件、増加している。求人指数BA-Xは前月と同じ99。前年同月に比べると18ポイント低い。

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