ドイツ連邦統計局が14日発表した2020年の国内総生産(GDP、速報値)は物価調整後の実質で前年比5.0%減となり、11年ぶりに縮小した。成長率は金融・経済危機の最中にあった2009年(-5.7%)に次いで戦後2番目に低い水準。新型コロナウイルス感染症の流行で経済活動が大幅に停滞したことが反映された格好だ。
各産業が創出した付加価値をみると、製造は10.4%減少した。特に上半期が振るわなかった。下半期には電機、機械、自動車などで回復傾向が強まった。
サービスの付加価値は6.3%減少し、下げ幅はこれまでで最高となった。コロナ規制のしわ寄せが特に強い宿泊・飲食が全体を強く押し下げた。
建設はコロナ禍の影響が小さく、1.4%増加した。
GDPを項目別でみると、経済成長をこれまでけん引してきた個人消費(民間最終消費支出)が6.0%減となり、戦後最大の落ち込みを記録。設備投資はマイナス12.5%と2ケタ減を記録した。政府最終消費支出は3.4%増、建設投資も1.5%増となったものの、内需全体では前年を4.1%割り込んだ。
輸出は9.9%減、輸入も8.6%減と大幅に縮小した。国外旅行需要が激減したことから特にサービス輸入が大きく落ち込んだ。
GDP成長率マイナス5.0%に対する項目別の寄与度をみると、個人消費はマイナス3.2ポイントに達し、最大の足かせとなった。設備投資はマイナス0.9ポイント、在庫調整等はマイナス0.7ポイントで、内需全体ではマイナス3.9ポイントに達した。外需(輸出-輸入)はマイナス1.1ポイントだった。
就労者数は1.1%減の4,480万人となり、15年ぶりに後退した。就労者の減少もGDPを押し下げており、就労者1人当たりのGDP成長率はマイナス4.0%と、同国全体の成長率(-5.0%)を上回った。
20年のGDP成長率は物価と労働日数を加味したベースでは前年比マイナス5.3%だった。
地方自治体と社会保険機関を含むドイツ全体の財政収支は1,582億ユーロの赤字となり、9年ぶりに赤字へと転落した。赤字額は1995年に次ぐ東西ドイツ統一後で2番目に大きな規模。財政赤字の対名目GDP比率は4.8%に達し、欧州連合(EU)の本来の許容上限である3%を大幅に上回った。EUは同3%を超過した加盟国に是正を求める措置を20年と21年は発動しないことにしている。