独コメルツ銀行は1月28日、競争力の強化に向けた新たな戦略の概要を発表した。これまでよりも踏み込んだリストラを実施すると同時に、事業のデジタル化を推進し、収益力を高める考え。人員削減の規模はフルタイム勤務換算で1万人となり、従来計画の2倍以上に拡大する。
同行は2019年9月、競争力強化戦略「コメルツバンク5.0」を発表した。時代の変化に合わせてデジタル化を推進するとともに国内の支店を統廃合するというもので、フルタイムの行員4万人のうち4,300人を整理するとしていた。
これに対し第2位株主の米投資会社サーベラスは改革が不十分だと批判し、支店と従業員の削減規模を大幅に増やすよう要求。経営陣が要求に応じない場合は「別の手段」で目的を貫徹するとして圧力をかけた。支店と人員の削減に対しては従業員の反発が強く、板挟みとなった頭取と監査役会長は辞任した。
今回の新たな戦略は1月1日付で就任したマンフレート・クノーフ新頭取が中心となって作成したもので、ネットバンキング利用者の増加を踏まえ国内の支店数を現在の790カ所から450カ所へと大幅に削減。パート勤務も含めて3万3,000人に上る国内従業員数も1万1,000人を整理する。これに並行して業務のデジタル化を推し進める意向で、2024年までに計17億ユーロを投資する。
これらの措置により同年までにコストを20%(14億ユーロ)圧縮。有形株主資本利益率(ROTE)を6.5~7%へと引き上げる。従来戦略では4%以上と低い目標を設定していた。
リストラ費用は計18億ユーロで、19年12月期と20年12月期に計9億ユーロを計上。21年12月期に残り9億ユーロを追加する。