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2021/2/17

総合 - ドイツ経済ニュース

コロナ規制3月7日まで延長、理容美容店は1日から営業解禁

この記事の要約

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は10日のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための措置を延長することで合意した。12月中旬に開始した本格的なロックダウン(都市封鎖)の効果で新規感染者数は大幅 […]

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は10日のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための措置を延長することで合意した。12月中旬に開始した本格的なロックダウン(都市封鎖)の効果で新規感染者数は大幅に減少したものの、従来のウイルスより感染力の高い変異種の感染が急速に増えていることから、14日を期限としていた現行規制を3月7日まで延ばすことにした。

人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数はピーク時に150人を超え、感染経路の追跡・遮断が可能な水準(同50人)の3倍以上に達していた。9日はこれが68人まで低下。昨年10月末以降で初めて70人を下回った。15日時点では59人と一段と下がり、西南ドイツのバーデン・ヴュルテンベルクとラインラント・ファルツの両州は50人ラインを下回っている。

その一方で、変異種の感染者数は増えている。ロベルト・コッホ研究所(RKI)によると、ウイルスの遺伝子配列検査が行われた検体に占める英国種の疑いのある検体の割合は2月第1週(1~7日)に11.2%となり、前週(1月25~31日)の4.8%から2倍以上に拡大した。南アフリカ種も0.3%から0.8%に増えている。現時点では遺伝子配列検査を行っていない検査機関があるほか、変異種と疑われる検体が変異種でない可能性もあるため、変異種の実際の割合はRKIが提示したデータと異なる可能性があるものの、急速に増えているのは間違いない。

こうした状況下でコロナ規制を緩和するとこれまでの努力が無駄になりかねないことから、国と州は制限措置の延長を決めた。私的な会合で家族のメンバーと家族以外の2人以上が会うことや、公共交通機関と店舗を医療用マスクなしで利用することがこれまでに引き続き禁止される。また、企業は被用者の在宅勤務を可能な限り認めなければならない。

食料品店やドラッグストアなど一部の例外を除く小売店とサービス事業者の店舗営業を禁止する措置も継続される。ただ、美容・理容店については予約制により来店者数を制限することなどを条件に3月1日から営業が認められる。散髪は衛生上重要と判断した。美容・理容店は12月中旬から営業が禁止されている。

国と州は今回、小売店および、顧客に至近距離でサービスを提供する理容・美容店以外の事業者の店舗営業解禁の目安も取り決めた。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数が安定的に35人以下にとどまる地域では営業を再開できるようにする。飲食店やホテルについては制限解除の具体的な条件を今後、詰めていく。

学校と保育施設については子供への影響と仕事を持つ親の負担を踏まえ、対面授業などを段階的に再開する方向を確認した。具体的な政策は各州が決める。早い州では週明けの15日に対面授業を再開した。

出口戦略を共同検討へ

一方、ペーター・アルトマイヤー経済相は16日、計40以上の経済団体の代表とテレビ会議を開催した。ロックダウンが長期化しているうえ、明確な出口戦略を国と州がいつまでたっても打ち出さないことに財界がしびれを切らしていることから、各業界が抱える問題に耳を傾けた。

厳しいコロナ規制に多くの市民は理解を示している。だが、店舗営業を禁じられている小売店やサービス事業者は先行きが見えない現状に強い危機感を持つ。特に、変異種の出現を受けて、ロックダウン緩和の目安とする1週間の新規感染者数を国と州が10日の会議でこれまでの人口10万人当たり50人以下から同35人以下へと変更したことで、不透明感は一段と強まった。独小売業中央連盟(HDE)のヨーゼフ・ザンクトヨハンザー会長は、ロックダウンの対象外となっているスーパーマーケットで消費者が感染せずに買い物を行っている現実を指摘。小売店の営業を再開しても適切な衛生措置を講じれば感染は拡大しないとして、店舗営業の解禁に向けた計画の速やかな策定を促した。

アルトマイヤー経済相はこうした声を踏まえ、ロックダウンからの出口戦略案を経済界と共同で検討し、国と州の次回の会議に提案することを決めた。

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