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2021/3/10

総合 - ドイツ経済ニュース

ロックダウン緩和、抗原検査を週一で無料提供へ

この記事の要約

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は3日のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施しているロックダウン(都市封鎖)を28日まで延長するとともに、規制を緩和することを取り決めた。新規感染者数 […]

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と国内16州の首相は3日のテレビ会議で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために実施しているロックダウン(都市封鎖)を28日まで延長するとともに、規制を緩和することを取り決めた。新規感染者数が増加に転じているほか、従来のウイルスに比べ感染力の高い変異種の感染者も増えて「感染第3波」の到来が懸念されているものの、厳しい規制の長期化に対する不満が市民や経済界に広がっていることから、制限措置を慎重に緩めることにした。ワクチン接種の加速と、検査結果がすぐに得られる抗原検査の大規模な実施を通して爆発感染を防ぐ考えで、メルケル首相は「2021年の春は(ワクチンがなく抗原検査の実施能力も限られていた)昨春とは違う」と強調した。

ドイツでは11月初旬にロックダウンが再導入され、12月中旬に制限措置が大幅に強化された。この結果、感染者数は大幅に減少。人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)はピーク時の150人超から2月中旬には57人まで減少した。だが、その後は再び増加。2日時点で64人に達した。

感染力の高い英国種が急速に広がっていることが背景にあるとみられる。ロベルト・コッホ研究所(RKI)の3日の発表によると、新規感染件数に占める英国種の割合は2月第4週(22~28日)に46.1%となり、第2週(同22%)の2倍強へと拡大した。メルケル首相は「パンデミックの新たな段階」に突入する恐れがあると警戒を強めている。

だが、ロックダウンの再導入から4カ月が過ぎ、厳しい規制にストレスをためる市民が増加。店舗営業再開のメドが立たない小売店やサービス事業者は批判を強めていた。国と州はこれを踏まえ、一定条件を満たす地域について制限措置を段階的に緩めることを決めた。

小売店の営業を制限付きで解禁

営業規制は8日付けで緩和。本屋、花屋、園芸センターは同日から生活必需品の販売店へと取り扱い区分が変更され、感染者数の多少にかかわらず営業できるようになった。マッサージ店など顧客と至近距離で仕事を行うサービス事業者と、自動車教習所も営業が解禁されている。

7日間の発生数が50人未満の地域ではあらゆる種類の小売店が営業を再開できるようになった。入店者数は店舗面積800平方メートルまでが10平方メートル当たり1人で、800平方メートルを超える部分については20平方メートル当たり1人となっている。博物館や動物園も再開できる。

7日間の発生数が50~100人の地域では事前に予約をした顧客を対象に店舗営業が認められる。同時に入店できる顧客の数は40平方メートル当たり1人が上限。感染経路を事後的に追跡できるようにするため、顧客データの記録が義務付けられる。博物館や動物園も事前予約と顧客データの記録が再開の条件となっている。

7日間の発生数が100人以上の地域では本屋やマッサージ店を除き規制が緩和されない。

規制緩和から2週間が経過しても(早ければ3月22日)新規感染者数が一定の枠内(50人未満ないし100人未満)にとどまれば、規制は一段と緩和される。7日間の発生数が50人未満の地域では飲食店がテラスなどの屋外でサービスを提供できるようになる。劇場、コンサートホール、映画館も解禁される。

同50~100人の地域では屋外での飲食サービスが予約客に限って認められる。顧客データの記録が義務付けられる。世帯を異にする人同士が同一の席に座る場合は、その日に行われた抗原テストで感染していないことを証明しなければならない。抗原テストは劇場、コンサートホール、映画館でも義務付けられる。

これらの地域の新規感染者数がその後さらに2週間(早ければ4月5日)、一定の枠内にとどまった場合は規制が一段と緩められる。7日間の発生数が50未満の地域では50人を上限に屋外イベントが可能になる。50~100人の地域でもすべての小売店が事前予約なしに店舗営業を行えるようになる。入店者数は店舗面積800平方メートルまでが10平方メートル当たり1人で、800平方メートルを超える部分については20平方メートル当たり1人となる。

規制が一度、緩和された地域でも感染者数が各上限枠を超えた場合は制限措置が強化される。

私的な接触についても規制は8日から緩和され、7日間の発生数が35人未満の地域では3世帯の最大10人が集まることができるようになった。同35~100人の地域でも接触制限の上限が2世帯の計5人へと緩められた。100人以上の地域では、家族のメンバーと家族以外の2人以上が会うことを禁止したルールが引き続き適用される。

社員の抗原検査を企業に義務化の方向

規制緩和で人と人の接触が増えると感染が拡大しやすくなることから、国と州は抗原検査を無料で提供することを取り決めた。これにより感染ルートを速やかに特定・遮断できるようにする考えだ。費用は国が負担する。

学校と保育施設では教職員と生徒、児童、幼児が少なくとも週に1度、検査を受ける。一般の市民も検査センターないし開業医で週に1度、無料検査を受けることができる。

企業に対しては出社する社員に週に1度、無料検査を提供することを義務付ける方向だ。これについては経済界と近く、協議する。在宅勤務を可能な限り認めることを企業に義務付けるルールに関しては期限を4月末まで延長することを決めた。

ドイツでは新型コロナ用ワクチンの接種を少なくとも1度受けた人の割合が5%を超えた。高齢者などに優先接種していることから、老人ホームでの集団感染は大幅に減少。7日間の発生数は80歳以上で60人、60-79歳で46人と、全世代平均の64人を下回っている。高齢者の感染が減れば、重篤化して集中治療室で治療を受ける患者が大きく減少することから、ワクチン接種の進展につれて医療崩壊のリスクは低下する見通しだ。

国と州はこれを踏まえ、3月末/4月上旬以降は開業医でもワクチン接種を受けられるようにすることを決めた。これまでワクチン接種センターと移動ワクチン接種チームに限られていた接種チャンネルを増やすことで、1週間当たりの接種者数を現在(最大140万人)の2倍に増やす考え。産業医による接種も第2四半期中に開始するとしている。