独製薬大手シュターダが医療用大麻をドイツ市場に投入した。将来性が高いと判断したため。中堅企業ノイラックスファームも1月に4製品を投入しており、医療市場調査会社インサイト・ヘルスの専門家は経済紙『ハンデルスブラット』に「製薬大手の参入でこれまで不当に貶められてきた医薬品(医療用大麻)の受容度が高まる」との見方を示した。
シュターダは8日に2製品を発売した。数カ月以内に計8種類に拡大する計画。独事業の統括責任者は「医療用大麻市場をかなり以前から注視してきた。その結果、医療用大麻はわが社のポートフォリオを有意義に補完するという結論に至った」と述べた。既存の医薬品が効かない患者にとって選択肢になるとしている。
ドイツでは医療用大麻が2017年から公的健康保険の給付対象となった。昨年の給付件数は推定32万件強で、前年を20%上回った。給付額は1億4,880万ユーロで、薬剤費総額(400億ユーロ強)の1%に満たないものの、将来性は高い。主に鎮痛剤として投与されているが、てんかんやパーキンソン病、不安障害にも効果があるという。
ドイツ市場では現在、スタートアップなどの小規模企業を中心に約90社が製品を供給している。シュターダのような大手は医師と太いパイプを持つうえ、自社の他の医薬品と組み合わせて投与する選択肢も持つことから、市場成長は加速する可能性がある。
同社もノイラックスファームも国外市場への参入を視野に入れている。