欧州の樹脂包装材業界が深刻な原料不足に直面している。コロナ禍で悪化した製造業の景気が予想外に早く回復したためだ。ポリプロピレンやポリエチレンなどの原料メーカーは不可抗力条項(フォース・マジュール)を次々と宣言。包装材メーカーの事業に大きな支障が出ている。
独樹脂包装材産業連合(IK)が会員企業75社を対象に実施した緊急アンケート調査によると、原料不足で生産と製品供給に支障が出ているとの回答は80%を超えた。大幅な減産を余儀なくされている企業も2割弱に上る。供給不足を受けて原料の価格は高騰しているという。
IKによると、背景には自動車や他の産業の急速な景気回復のほか、◇米国とサウジアラビアの化学メーカーがアジア向けの原料供給を優先している◇米テキサス州を襲った寒波の影響で現地の原料工場に支障が出た◇欧州の原料メーカーが不可抗力条項を発動している――を挙げた。
KIが『フランクフルター・アルゲマイネ』に明らかにしたところによると、現時点で欧州の原料工場27カ所が不可抗力条項を宣言している。アンケートでは会員企業の80%が同条項の宣言を原料メーカーから宣言されたと回答した。
KIのマルティン・エンゲルマン専務理事は「原料不足が原因で包装材の生産が停止すれば、包装された食料品と医薬品を供給するという社会・経済システム上の重要な機能が危機にさらされる」と警鐘を鳴らした。