BMW―CO2無排出製鉄の米社に出資―

高級乗用車大手の独BMWは12日、二酸化炭素(CO2)を排出しない製鉄技術を持つ米スタートアップ企業ボストン・メタルに出資すると発表した。BMWは製品ライフサイクル全体で排出されるCO2の総量を削減する戦略を打ち出しており、製造工程でのCO2排出量が特に多い素材・部品分野で優先的に削減を進める方針。リチウムイオン電池セル、アルミニウムに続き鉄鋼でも本腰を入れる。

高炉を用いて銑鉄を生産する従来の方式ではCO2が大量に排出される。ボストン・メタルはこの問題を解決するために電解槽を用いた新たな生産技術を開発した。電解槽に再生可能エネルギー電力を用いることでCO2の排出をゼロに抑えることができる。同技術を用いた鉄鋼の量産化を計画していることから、BMW傘下のベンチャーファンド「BMW iベンチャー」から資金を調達する。

BMWは調達する鉄鋼の生産で排出されるCO2の量を2030年までに約200万トン削減するとの目標を掲げている。アンドレアス・ヴェント取締役(調達・サプライヤー網担当)は「取引先が持続可能な行動に努め、CO2排出量が少ない生産技術を用いることはわが社にとって重要だ」と明言した。

同社はリサイクルの拡大を通してCO2排出削減と資源保護に努める方針も打ち出している。鉄鋼に関してはプレス工場で発生するくず鉄を自社で再利用したり、鉄鋼会社に売却するなどの取り組みを行っている。

上部へスクロール