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2021/4/14

総合 - ドイツ経済ニュース

コロナ規制を統一へ、政府が法案了承

この記事の要約

ドイツ政府は13日の閣議で、感染防止法改正案を了承した。新型コロナウイルスの新規感染者数が一定基準を超えた地域に全国一律の規制を適用することが柱。州によって規制が異なるというこれまでのちぐはぐな対応を是正し感染防止策の効 […]

ドイツ政府は13日の閣議で、感染防止法改正案を了承した。新型コロナウイルスの新規感染者数が一定基準を超えた地域に全国一律の規制を適用することが柱。州によって規制が異なるというこれまでのちぐはぐな対応を是正し感染防止策の効果を高める狙いだ。メルケル首相は閣議後の記者会見で、「集中治療ベッドが満杯になるのを待っていたのでは遅すぎる」と述べ、感染第3波にブレーキをかけるには「より厳格で一貫性のある」措置が必要だと強調した。政府は同法案を連邦議会(下院)と、州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)で今週中にも可決させ、速やかに施行する意向だ。

ドイツのコロナ規制はこれまで、メルケル連邦首相と国内16州の首相の会議で決定してきた。規制権限を州が持っていたため、全国一律の規制を国が制定・実施することはできないという事情があった。

各州の足並みをそろえるために開く同会議では利害や思惑を背景に意見調整が毎回、難航した。また、ようやく成立した合意を順守しない州は少なくなかった。

こうした現状はコロナ対策に対する国民の信頼を損なっているうえ、感染拡大に有効に対処できないという問題も引き起こしている。

3月3日の会議では、ロックダウン(都市封鎖)の長期化に伴う小売店の経営悪化などを踏まえ、人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)が100人以下の地域では条件付きで小売店の店舗営業を認めるなど規制緩和のルールを取り決めた。それとともに、感染状況が悪化し、7日間の発生数が3日連続で100人を超えた地域に対しては「緊急ブレーキ」というルールを適用することも決めた。

緊急ブレーキは同100人を超えた地域に従来の厳しい制限措置を再導入するというもの。8日付で施行されたが、同ルールを拡大解釈して実質的に順守しない州が多かったことから、22~23日の会議で厳格適用方針が再確認された。

それにもかかわらず急ブレーキを踏まない州があることから、メルケル首相は3月末、具体的な州名を挙げて批判。これらの州が姿勢を改めない場合は規制権限を州から取り上げ、国が直接、指示を出す体制に改める意向を表明していた。

州首相のなかには国の権限強化に反対の意向を表明する者もいたが、同国を襲う感染第3波に歯止めがかからず、規制の統一を求める声が強まっていることから、譲歩したもようだ。キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)に属するメルケル首相と、社会民主党(SPD)のオーラフ・ショルツ財務相(副首相)が中心となり水面下で調整を進めた。

改正法案には、7日間の発生数が3日連続で100人超となった地域に緊急ブレーキを適用することが盛り込まれた。適用対象地域では◇21~5時の夜間外出が原則禁止◇食料品店や薬局、ドラッグストア、本屋、花屋など一部の例外を除き小売店の店舗営業が禁止◇私的・公的な場を問わず家族以外の人と会うことが大幅に制限――されることになる。美容・理容院は営業が認められる。

対面授業を行う学校では週に2回、抗原検査の実施が義務付けられる。7日間の発生数が3日連続で200人を超えた地域では対面授業が禁止となる。

企業での抗原検査は来週にも義務化

新型コロナの感染は拡大傾向にある。ロベルト・コッホ研究所(RKI)の13日の発表によると、新規感染者数は141人となり、前日から5人増加した。国内412地域のうち305地域で100人を超えている。

集中治療を受ける患者は12日時点で4,662人に達し、集中治療病床の使用率は86%に上る。集中治療医の危機感は大きく、独集中・緊急医療学際協会のゲルノート・マルクス会長は、適切な対策を速やかに打たないと集中治療患者数は月末までに7,000人に達し、これまでで最高の5,744人(1月4日)を大幅に上回ると指摘。感染防止法改正案の週内可決を強く促した。

メルケル首相は現場の厳しい状況を理解しており、医療崩壊を回避できるかどうかは国と市民の取り組みにかかっているとの認識を示した。法案は迅速審議手続きを適用して成立させる意向だ。

今回の法改正方針を受け、12日に予定されていたメルケル首相と16州の首相のコロナ対策会議は中止された。国の権限が強化されたことから、今後は会議の頻度が減る見通しだ。

13日の閣議では職場での新型コロナ感染を予防するための政令改正も承認された。企業は出社する社員に抗原検査を週に1回、提供することを義務付けられる。これまでは企業の自主性に委ねられていたが、実施率が国の期待を下回っていることから強制措置へと切り替える。感染リスクの高い職場で働く社員には検査を週2回、提供しなければならない。

費用は企業の負担となる。市販の簡易検査キットの使用が認められており、検査機関に委託する必要はない。勤務先が提供する検査を社員が受ける義務はない。

同政令改正案は来週(19~25日)半ばに官報に掲載され発効する見通しだ。