Ifo経済研究所が26日発表した4月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は96.8となり、前月を0.2ポイント上回った。同指数の改善は3カ月連続。現状判断を示す指数が1.0ポイント増の94.1と大きく伸び、全体を押し上げた。今後6カ月の見通しを示す期待指数は0.8ポイント減の99.5となり3カ月ぶりに悪化している。Ifoのクレメンス・フュスト所長は「(新型コロナウイルスの)感染第3波と原料・部品の供給不足がドイツ経済の回復を押し下げる」と述べた。
現状を「良い」と判断する企業の割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)と、今後6カ月の見通しを「良い」とする割合から「悪い」の割合を引いた数(DI)の中央値(景況感、季節調整値)は前月を0.3ポイント上回る11.5へと上昇した。この数値がプラスの領域に入るのは3カ月連続。流通業がマイナス0.5となったのを除き、すべてプラスを確保した。
製造業は前月を1.3ポイント上回る25.3となり、18年5月以来の高水準を記録した。工場稼働率は前月の81.9%から86.2%へと急上昇。長年の平均である83.5%を約2年ぶりに上回った。世界経済の急速な回復を背景に幅広い分野で中間財が不足しており、「原料・部品の供給がひっ迫している」との回答は45%に達し、1991年以来の高水準となった。
サービス業の同中央値は3.5となり、前月の6.6から低下したものの、2カ月連続でプラスの領域にとどまった。製造業の回復を背景に物流業界が全体をけん引。宿泊・飲食と旅行は依然として厳しい状況が続いている。
流通業はマイナスとなったものの、マイナス幅は前月の1.4から縮小した。現状判断が大きく改善。特に自動車販売店で業績が上向いている。
建設業は0.4となり、前月の2.4から低下した。先行き見通しが大きく悪化。現状判断も落ち込んだ。建材不足に直面する企業が多い。
輸出見通しが10年来の高水準に
一方、Ifoが27日に発表した独製造業の4月の輸出期待指数(DI)は前月の23.8ポイントから24.6ポイントとへ上昇し、2011年1月以来10年3カ月ぶりの高水準を記録した。同指数の改善は5カ月連続。フュスト所長は「製造業ではパンデミックの影響が多くの国でほとんどなくなっている。ドイツの輸出財への需要はその恩恵で大幅に増えている」と述べた。
製造業のほとんどすべての分野で輸出見通しが改善した。特に電機、機械、化学が好調で、機械は11年1月以来の高い水準となった。衣料品と「その他の輸送機器(船舶、航空機など)」は振るわなかった。