欧米自動車大手ステランティスの独子会社オペルがコロナ禍で本格導入した在宅中心の勤務体制を常態化する意向だ。オフィス面積を大幅に減らしコストを削減することが狙いで、労働組合と現在、交渉を行っている。労組は在宅勤務自体には反対していないものの、出社がほとんどなくなることを懸念している。同社や労組への取材をもとに『ハンデルスブラット』紙が報じた。
オペルの社員(1万5,000人)の過半数は新型コロナウイルス感染症の流行が本格化した昨年3月以降、在宅勤務を行っている。コストカッターとして知られるミヒャエル・ローシェラー社長は現在のオフィス面積の90%を不要と考えていることから、これを削減。出社する従業員がデスクなどを共有する体制の導入を目指している。不要となるオフィスは売却ないし賃貸する意向だ。
新しい勤務体制が導入された場合、フランクフルト近郊のリュッセルスハイムにある本社が最も大きな影響を受けることになる。オフィスで働く技術者や事務職員が全従業員(1万人強)の4分の3以上を占めているためだ。
金属労組IGメタルの幹部は「在宅勤務とデスクシェアリングを増やすことに我々は教条的に反対しているわけではない。だが、これほど大きな規模となると適切とは思えない。従業員に受け入れられないだろう」と述べた。企業文化が悪い意味で大きく変化することを懸念している。在宅勤務に必要な設備や、自宅で働くことで被用者に発生する費用を会社側がどう負担するかも大きな争点となりそうだ。