ドイツ連邦陸運局(KBA)が3日発表した5月の乗用車新車登録台数は前年同月比37.2%増の23万635台となり、3カ月連続で2ケタ台の伸びを記録した。比較対象の昨年5月は第1回目のロックダウン(都市封鎖)で需要が激減しており、今年5月はその反動で大きく伸びた。ただ、2年前の19年5月に比べると49.5%も少なく、コロナ禍からの完全回復には程遠い。1~5月の累計は前年同期比12.8%増の111万6,737台だった。
5月の数値を見ると、環境対応車が特に大きく伸びた。購入補助金の対象となる電気自動車(EV)は前年同月比380.2%増の2万6,786台、プラグインハイブリッド車(PHV)も同303.0%増の2万7,222台と3ケタ台の伸びを記録。PHVを含むハイブリッド車(HV)全体では181.8%増えて6万4,367台となった。シェアはEVで11.6%、PHVで11.8%、HV全体で27.9%に達しており、EVとHVの合計は39.5%に上る。
ガソリン車は1.1%増えたものの、シェアは前年同月の51.1%から37.7%へと低下した。ディーゼル車は3.3%減となり、シェアは31.6%から22.3%へと落ち込んだ。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は平均125.0グラムで、前年同月から19.3%減少した。環境対応車が大幅に増えたことが大きい。
伸び率が最も大きかったセグメントは超小型車で、114.9%に達した。SUVも61.2%と大きい。コロナ特需で昨年、大きく伸びたキャンピングカーは今年5月も8.1%増えた。
シェアでは23.4%のSUVが最も大きく、2位のコンパクトカー(17.4%)を大幅に上回った。小型車は14.2%、超小型車は6.1%、キャンピングカーは4.9%だった。
増加率が特に大きかった主要ブランドはEV専門のテスラとスマートで、それぞれ779.5%増の2,744台、480.5%増の2,200台を記録した。これにセアトが112.8%増の1万1,691台、ミニが94.9%増の3,611台、BMWが92.1%増の1万9,668台で続いた。
スマートとミニ、BMW以外のドイツ車はメルセデス(14.8%減の1万4,598台)を除いてすべて増加した。各ブランドの実績はポルシェが53.9%増の2,686台、VWが53.0%増の4万5,243台、オペルが41.5%増の1万2,374台、アウディが33.4%増の1万8,561台、フォードが4.3%増の1万1,632台だった。
日本車はスズキ(52.5%増の1,941台)、トヨタ(39.0%増の5,837台)、マツダ(38.4%増の3,783台)、ホンダ(26.9%増の703台)、日産(25.7%増の1,973台)で2ケタ台の伸びを記録。スバル(1.0%増の490台)も増加した。レクサスは8.0%減の184台、三菱は26.2%減の3,053台へと落ち込んだ。
日本車以外の主な輸入ブランドではシュコダが56.3%増の1万5,269台、起亜が56.2%増の5,642台、現代が51.1%増の8,687台と特に大きく伸びた。韓国勢は需要が急増する電動車の販売比率を大幅に高めている。このほか、アルファロメオ(49.4%増の266台)、ジープ(40.5%増の1,051台)、プジョー(34.5%増の5,246台)、ボルボ(33.0%増の3,778台)、シトロエン(24.7%増の5,273台)、DS(11.5%増の223台)、フィアット(6.2%増の9,145台)、ルノー(3.6%増の7,119台)が前年同月を上回った。ダチア(7.9%減の2,629台)、ランドローバー(9.6%減の949台)、ジャガー(23.4%減の383台)、双竜(40.6%減の95台)は減少した。
独自動車工業会(VDA)によると、独メーカーの5月の乗用車国内新規受注台数は前年同月比で59%増加した。国外も同47%増えている。1~5月の累計は国内が前年同期比17%増、国外が同37%増だった。
乗用車の国内生産台数は25万100台で、前年同月を58%上回った。輸出台数は75%増の17万7,700台。1~5月は生産台数が前年同期比25%増の148万5,900台、輸出台数が26%増の113万4,300台だった。