児童労働禁止などの社会的基準や環境保護基準がサプライチェーンで順守されるようにすることを企業に義務付ける法案が11日の連邦議会で可決された。持続可能な開発目標(SDGs)に反する状況下で生産された原料などを調達する企業が多い現状の是正を狙った同法案のルールは2023年1月1日付で発効する。
児童労働や劣悪な労働環境といった人権侵害はサプライチェーンの起点に当たる原料採掘の段階ですでに起きていることが多い。このためフベルトゥス・ハイル労相などは、SDGsの順守を徹底するためにはサプライチェーンのすべての段階に対し調達元企業に責任を負わせる必要があると主張。これに対し経済界から企業の負担が大き過ぎるとの批判が出たことから、ペーター・アルトマイヤー経済相などが修正を求め、調達元が責任を負うのは直接取引のあるサプライヤーの段階までとすることで折り合いがついた。ただし、直接取引のないサプライヤーであってもSDGsが順守されていないとの指摘をNGOなどから受けた場合は調査を行い、必要であれば是正措置を講じなければならない。
同法案は当初、ドイツ国内の雇用が3,000人超の企業に適用される。1,000社強が該当する見通し。24年1月からは適用範囲が同1,000人超へと拡大され、およそ2,900社が対応を迫れることになる。
違反企業は年間売上高の最大2%に相当する制裁金を科される。また、公共入札から締め出されることになる。