ドイツ機械工業連盟(VDMA)は9日、独業界の2021年の生産成長率予測を従来の実質7%から10%へと引き上げた。新規受注の大幅増加と工場稼働率の改善、1~4月の生産増(前年同期比+6.0%)を踏まえたもの。カール・ホイスゲン会長は主要な販売先国の景気対策も追い風になると述べた。その一方で、新型コロナウイルスの感染を防止するための移動制限と世界経済の急回復に伴う部品・部材の供給不足は成長の足かせになると指摘した。
機械業界の生産高は20年に実質12.0%減少した。19年も2.6%縮小していることから、今年は3年ぶりに拡大することになる。
名目生産高は今年2,210億ユーロとなり、前年の2,010億ユーロから10%増加する見通し。過去最高の19年(2,260億ユーロ)に比べると2%低い。
名目売上高も今年は前年の2,040億ユーロから2,240億ユーロへと10%増加するものの、過去最高の18年(2,320億ユーロ)を3%下回る。
ホイスゲン会長は欧州連合(EU)が導入を検討している国境炭素税にも言及した。EUが域外からの輸入品に同税を適用すると、他の国が報復措置を発動し、保護主義の負の連鎖に発展する恐れがあると指摘。地球温暖化対策が不十分な国からの輸入品に追加関税などを課す「国境炭素調整措置(CBAM)」を導入する場合は、米国や英国、日本、韓国など考え方の近い国と連携するよう要請した。