独電気電子工業会(ZVEI)が16日に発表した2020年の独電子市場規模は約59億ユーロとなり、前年を35%上回った。電動車の国内生産増加などを背景にリチウムイオン電池が63%増の30億4,000万ユーロと特に大きく拡大。全体をけん引した。14年に比べると電池市場は172%増え、リチウムイオン電池に限ると7倍以上に成長した。
20年の国内電池生産高は37億ユーロで、前年に比べ23%伸びた。充電できない一次電池が79%増の19億ユーロとなり、伸び率と金額でともに最大だった。主にエンジン車のバッテリーとして使われる鉛電池は14%減の14億ユーロへと縮小した。リチウムイオン電池は4億5,000万ユーロと規模が小さく、国内市場で取引される製品の大半は輸入品だ。
電池の輸出高は24%増の50億ユーロに拡大した。同金額が国内生産よりも多いのは、輸入品の一部が加工・未加工で輸出されるため。輸入したリチウムイオン電池セルを付加価値の高い電池システムに加工して輸出するメーカーが多い。
最大の輸出先地域は欧州で、30億ユーロに上った。これにアジアが9億5,000万ユーロ、アメリカ大陸が9億ユーロで続く。米国は74%増の7億ユーロと大きく伸びた。
電池の輸入高は73億ユーロで、33%増えた。リチウムイオン電池が64%増の54億ユーロと全体をけん引した。
地域別でみると、欧州からの輸入は79%増の38億ユーロと伸び率が大きかった。アジアは同5%増の34億ユーロにとどまったことから、輸入に占める欧州の割合は52%となり、アジア(46%)を抜いて最大となった。アジアへの依存度が低下している。
リチウムイオン電池に限ると、欧州からの輸入は214%増の26億ユーロと3ケタ台の伸びを記録した。シェアは48%。ポーランドが中国と並ぶ最も重要な輸入先国となっている。アジアは14%増の28億ユーロで、シェアは前年の60%から52%に低下した。