在宅勤務義務が7月から廃止

ドイツ政府は23日の閣議で、職場での新型コロナウイルス感染を防止するための政令(職場感染防止政令)改正案を了承した。新規感染者数が大幅に減っていることを踏まえ規制を緩和。出社しなくても勤務できる社員への在宅勤務提案を雇用主に義務付けるルールなどを廃止する。新政令は7月1日付で施行される。

同ルールは職場と通勤中の感染を防止するために1月に導入された。新規感染者数が高水準に達したにもかかわらず、在宅勤務の可能性を十分に活用しない企業が多かったためだ。同ルールでは被用者には雇用主から受けた在宅勤務提案を受け入れる義務がない。

在宅勤務に関しては4月下旬に施行された改正感染防止法にも規定がある。雇用主から在宅勤務の提案を受けた被用者は原則としてこれを受け入れなければならないというものだ。現行の職場感染防止政令が在宅勤務提案を雇用主に義務付けているのに対し、こちらは同提案を被用者が受け入れる義務を定めている。政府は7月1日付で職場感染防止政令を改正するほか、時限立法の改正感染防止法も6月末で失効させることから、7月からは在宅勤務に関する労使の義務がともになくなることになる。

ただ、政府は在宅勤務を企業が今後も積極的に活用することを求めている。プレスリリースには「被用者を感染から最大限に守るために雇用主は(今後も)在宅勤務を任意で提供できる」との一文が盛り込まれた。

今回の職場感染防止政令改正案では、工場やオフィス、休憩室など同一空間内に複数の社員が同時滞在する場合、1人当たりの面積を原則的に最低でも10平方メートル確保しなければならないとするルールも廃止される。ただ、三密(密集、密接、密閉)は感染を引き起こしやすいことから、室内の社員数を最小限に制限することは引き続き義務付けられる。

このほか、◇社会的距離◇手洗い・消毒などの衛生措置◇社会的距離が保てない職場でのマスク着用義務◇こまめな換気――ルールも継続される。マスクは雇用主が支給しなければならない。

出社するすべての社員に感染の有無を調べる抗原検査などを週に最低2回、提供することを雇用主に義務付けるルールも引き続き適用される。ただし、ワクチン接種完了から2週間以上が経過した被用者、ないし感染から回復した社員に対しては提供する義務がなくなる。

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