化学大手の独BASFは24日、スウェーデンのエネルギー大手バッテンフォールがオランダに建設する洋上風力発電パークに資本参加すると発表した。同社が再生エネ事業に参画するのは初めて。炭素中立目標の実現に必要な再生エネを確保する狙いだ。独エネルギー大手RWEからも再生エネを調達することで5月に基本合意しており、調達先を拡大することになる。
バッテンフォールはデン・ハーグの沖合に風力発電パーク「ホランセ・クスト・ザイト」を建設する。同パークは発電容量が世界最大の1.5ギガワットとなる。また、発電した電力に補助金が交付されない世界初の洋上風力発電パークとなる。7月に建設が始まり、2023年からフル稼働する予定だ。
BASFは同パークの資本49.5%を3億ユーロで取得する。建設費用の負担も含めると同社の投資額は約16億ユーロとなる。10-12月期の取引完了を見込む。
同パークで発電された電力の一部はバッテンフォールがオランダ海岸沿いの顧客企業に販売する。残りはBASFがベルギー・アントワープの統合生産拠点をはじめとする欧州各地の自社工場に供給する。BASFのマルティン・ブルーダーミュラー社長は「この投資によりわが社は大量の再生エネを確保する。これは炭素中立実現に向けた変革のカギとなる要素だ」と述べた。
同社は50年の炭素中立実現に向け、二酸化炭素(CO2)の排出量を30年までに18年比で25%削減する目標を掲げている。製品1単位当たりの排出量を50%引き下げる考えだ。
バッテンフォールは他社との協業を通して再生エネ事業を進める方針を打ち出している。再生エネの拡大を加速するとともに投資コスト負担を軽減できるためで、アンナ・ボルグ最高経営責任者(CEO)は、エネルギーのクリーン化を進めるうえで製造業とのパートナーシップは重要だと明言した。