化学大手のBASFは29日、電池正極材を生産する独東部のシュヴァルツハイデ工場内に電池リサイクルの試作設備を設置すると発表した。電池の効率的なリサイクル技術を実現。電動車の利用拡大で重要性が高まる電池材料の有効利用を図る。2023年初頭から操業を開始する予定だ。
同設備では使用済みのリチウムイオン電池からリチウム、ニッケル、コバルト、マンガンを高比率で取り出し、再利用できるようにする。電池セルなど電池材料メーカーの生産過程で発生する残材からもこれらの資源を取り出す計画だ。再生原料は同工場での正極材生産に投入する。
再生原料を用いると正極材の生産で発生する二酸化炭素(CO2)の量(カーボンフットプリント)は最大60%減少する。自動車メーカーは自社モデルのカーボンフットプリント削減に取り組んでいることから、再生原料を使用した正極材のニーズは大きい。BASFは今後、予想される電動車市場の急成長を見据え、「リサイクリングは正極材主要原料への競争力のある持続可能なアクセスを可能にする」との見方を示した。