自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は24日、仏レンタカー大手ヨーロッパカーの買収を打診したことを明らかにした。ヨーロッパカーはVWの元子会社。自動車業界の構造転換を背景に移動サービスの重要性が高まっていることから、買い戻す意向だ。
VWは英投資会社アテスター、VW車の蘭輸入事業者ポン・ホールディングスと共同で拘束力のない買収提案を行った。打診額は1株当たり44セントで、ヨーロッパカーを約22億ユーロと評価したことになる。正式に買収を提案するかどうかは未定。ヨーロッパカーは現時点で受け入れを拒否している。
ヨーロッパカーは2019年11月から売りに出されている。新型コロナ危機でレンタカー需要が激減し、現在はフランス政府の支援を受けていることから、売却先の模索は加速している。
VWは06年、中核事業に経営資源を集中するため、ヨーロッパカーを仏投資会社ユーラゼオに債務も含め33億2,000万ユーロで売却した。ここにきて再買収に意欲をみせているのは、経営戦略の上でレンタカー会社の重要性が高まっているためだ。ヨーロッパカーを再び傘下に収めることで、VWは移動サービス事業を強化できるうえ、電気自動車(EV)の大きな販売チャンネルも確保できる。EV販売が増えれば、EV事業の収益性が高まるほか、欧州連合(EU)の二酸化炭素(CO2)排出規制にも対応しやすくなる。