ドイツ連邦陸運局(KBA)が5日発表した6月の乗用車新車登録台数は前年同月比24.5%増の27万4,152台となり、4カ月連続で2ケタ台の伸びを記録した。比較対象の昨年6月は第1回目のロックダウン(都市封鎖)の余波で需要が激減しており、今年6月はその反動で大きく伸びた。2年前の19年6月に比べると台数は15.7%少なく、コロナ禍からの完全回復には程遠い。1~6月の累計は139万889台。前年同期を14.9%上回ったものの、19年同期に比べると24.8%少ない。
6月の数値を見ると、環境対応車がこれまでに引き続き大きく伸びた。購入補助金の対象となる電気自動車(EV)は前年同月比311.6%増の3万3,420台、プラグインハイブリッド車(PHV)も同191.3%増の3万1,314台と3ケタ台の伸びを記録。PHVを含むハイブリッド車(HV)全体では153.1%増えて7万6,564台となった。シェアはEVで12.2%、PHVで11.4%、HV全体で27.9%に達しており、EVとHVの合計は40.1%に上る。
電動車(EV、PHV、燃料電池車=FCV)は新車登録が急増し続けていることから、保有台数も急速に拡大。20年末までに同100万台を達成するとした政府の当初計画は半年遅れながら6月に達成された。
6月のガソリン車の新車登録台数は4.6%減り、シェアは前年同月の51.5%から39.5%へと低下した。ディーゼル車は18.8%減と大きく後退。シェアは30.6%から19.9%へと落ち込んだ。
走行1キロメートル当たりの新車の二酸化炭素(CO2)排出量は平均121.7グラムで、前年同月から19.0%減少した。環境対応車が大幅に増えたことが大きい。
登録台数の上位3部門をみると、トップのSUVは55.0%増と大きく伸び、シェアは24.8%に達した。2位のコンパクトカーは3.4%増でシェアが17.5%、3位の小型車は25.5%増でシェアが14.8%だった。
増加率が特に大きかった主要ブランドはEV専門のテスラとスマートで、それぞれ431.0%増の4,466台、211.6%増の1,807台を記録した。これにハイブリッド車の販売に注力するスズキが210.0%増の3,757台で続いた。
スマート以外のドイツ車はフォード(27.1%減の1万1,764台)とメルセデス(19.3%減の1万7,723台)を除いてすべて増加した。各ブランドの実績はオペルが69.3%増の1万6,535台、VWが46.1%増の5万7,159台、アウディが29.0%増の2万124台、ミニが27.2%増の4,121台、BMWが20.9%増の2万1,847台、ポルシェが9.1%増の2,625台だった。
スズキ以外の日本車はマツダ(59.0%増の4,748台)、トヨタ(51.0%増の7,507台)、スバル(39.5%増の491台)で伸び率が大きかった。レクサスは13.7%増の274台。日産は1.4%減の2,443台、三菱は21.3%減の3,665台、ホンダは30.4%減の741台へと落ち込んだ。
日本車以外の主な輸入ブランドではアルファロメオ(88.6%増の347台)、現代(81.5%増の1万1,641台)、セアト(62.6%増の1万4,626台)、起亜(60.2%増の6,583台)が好調だった。韓国の2ブランドは需要が急増する電動車の販売が大きく伸びている。輸入ブランドではこのほかシトロエン(33.5%増の5,350台)、プジョー(21.2%増の5,835台)、ランドローバー(17.8%増の1,085台)、ダチア(17.4%増の4,051台)、ジープ(14.5%増の1,500台)、シュコダ(12.5%増の1万5,288台)、フィアット(2.4%増の9,364台)が増加。ルノー(2.2%減の1万407台)、双竜(4.0%減の145台)、DS(4.4%減の173台)、ジャガー(13.7%減の449台)、ボルボ(20.8%減の3,680台)は減少した。
一方、独自動車工業会(VDA)が同日発表した6月の乗用車国内生産台数は24万7,400台となり、前年同月を19%下回った。半導体不足が響いた格好で、輸出台数も6%減の20万1,500台へと落ち込んだ。1~6月は生産台数が前年同期比16%増の170万台、輸出台数が20%増の130万台だった。