欧州商用車大手のトレイトン、ダイムラー・トラック、ボルボ・グループの3社は5日、大型トラック・バス用の高速充電網を共同構築することで基本合意したと発表した。電気トラックなどを顧客企業が安心して使用できる環境を整え需要を掘り起こすとともに、欧州連合(EU)の炭素中立目標を踏まえ運輸部門の二酸化炭素(CO2)排出削減を図る。トレイトンのマティアス・グリュントラー最高経営責任者(CEO)は、「我々はいま、化石燃料のない持続可能な輸送への移行を加速するための第一歩を踏み出す。第二歩は欧州全域での充電網の全面拡充に向けたEUの力強い取り組みだ」と述べ、大型商用車用の充電インフラ整備を積極的に支援することをEUに要請した。
3社は当局などの承認を得たうえで年内に本合意を締結。均等出資の合弁会社を来年、蘭アムステルダムに設立する。まずは設立後5年で計5億ユーロを投じ、高速道路沿いや物流ハブに少なくとも1,700カ所の充電ステーションを設置する計画だ。電力は100%再生可能エネルギーを供給する。
同合弁への他の企業の参加と補助金の交付をテコにステーション数を大幅に拡大していくことを想定している。新会社が設置するステーションは出資3社以外が製造した車両にも開放する。
欧州自動車工業会(ACEA)は5月に発表したレポートで、欧州では25年までに1万5,000カ所、30年までに5万カ所の高速充電ステーションが必要との見解を示した。3社は声明で、商用車用充電インフラの拡充に向けた今回の合意は先駆的な試みだと指摘。業界の他のメーカーや各国政府・議会も充電インフラの拡充に積極的に取り組むよう呼びかけた。