独バイオ医薬品企業ビオンテックと米製薬大手ファイザーは21日、両社が共同開発した新型コロナウイルス用ワクチンの生産を南アフリカの企業に委託することを明らかにした。同ワクチンがアフリカ大陸で生産される初のケースとなる。南ア製はすべて同大陸向けに出荷し、現地のワクチン不足緩和につなげる考えだ。
製造工程の一部を南ア企業バイオバックに委託する。バイオバックは欧州で生産した有効物質の供給を受け、瓶詰と包装を引き受ける。来年初頭から出荷を開始。ピーク時には年1億回分以上を生産できるようになる。同社は他のワクチンの生産で2015年からファイザーと協業しており、実績がある。
ビオンテックとファイザーは新型コロナワクチンを自ら生産するほか、他の企業に生産を委託している。両社のワクチン生産連合にバイオバックが加わることで、製造拠点は世界3大陸の20カ所超に拡大する。ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者(CEO)は、「生産プロセスと品質を保ちながら我々のワクチンの生産・供給をすべての大陸の人々に可能にすることが我々の目標だ」と明言した。
新型コロナワクチンを開発した企業に対しては、生産規模を高め全世界の人々が速やかに接種を受けられるようにするために特許を放棄するよう求める声がある。これに対しビオンテックとファイザーは、生産工程は複雑で厳格な品質管理が必要なことを指摘。特許を放棄しても供給量は増えないと反論している。ファイザーのアルバート・ブーラCEOは声明で、「新型コロナワクチンへの(人々の)アクセスを加速するため、我々の供給ネットワークに新たなパートナーを迎え入れることを引き続き検討する。ラテンアメリカでも」と述べ、生産委託先を今後も増やしていく意向を表明した。