高層ビルをアリアンツが購入、取引額は独史上最高の14億ユーロ

フランクフルトの金融街に建設中の高層ビル「T1」を保険大手のアリアンツがバイエルン州立年金公庫と共同で取得する。取引額は14億ユーロ。ドイツではビル1棟の売値が10億ユーロを超える案件がこれまでなく、断トツで過去最大となる。

T1はドイツ銀行の元所有地跡に建設中のビル群「カルチエ・フォー」の一部。カルチエ・フォーは高さ100メートルから233メートルの4つのビルで構成される。2024年末~25年初頭に完成する予定だ。T1はそのなかで最も高く、同市のコメルツ銀行タワー(259メートル)、メッセタワー(256.5メートル)に次いで国内で3番目に高いビルとなる。主に賃貸オフィスとして利用されるものの、飲食街が設置されるほか、スーパーや保育施設も入居する予定だ。

アリアンツとバイエルン州立年金公庫は折半出資でT1を取得する。管理はアリアンツが単独で引き受ける。

保険業界では安定的な収入が得られる不動産投資の人気が高い。ただ、コロナ禍で在宅勤務が広がったことから、オフィスビルの取引市場は現在、低迷している。コロナ禍後にオフィス需要がどの程度、回復するかが読めないためだ。

それにもかかわらずアリアンツがT1を購入するのは、立地条件が最高であるうえ、デジタル化対応や働きやすさに配慮した設計、環境への配慮など付加価値が極めて高いため。オフィスビルも優良物件であれば入居を希望する企業は多く、投資リスクは低い。

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