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2021/8/25

総合 - ドイツ経済ニュース

ドイツが第4波突入、感染者数12倍に拡大

この記事の要約

ロベルト・コッホ研究所(RKI)は19日、ドイツが新型コロナウイルス感染の第4波に突入したことを明らかにした。感染は人との接触が多くワクチン接種比率が低い比較的若い世代を中心に広がっている。人口10万人当たりの直近7日間 […]

ロベルト・コッホ研究所(RKI)は19日、ドイツが新型コロナウイルス感染の第4波に突入したことを明らかにした。感染は人との接触が多くワクチン接種比率が低い比較的若い世代を中心に広がっている。

人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数(7日間の発生数)は4月26日の169.3人を直近のピークに減少へと転じ、7月3日には4.9人まで減った。だが、その後は一貫して増加しており、8月24日には58.0人と約12倍に拡大した。PCR検査の陽性率を見ても、今年第32週(8月8~15日)は前週の4%から6%へと大きく上昇している。

昨年は気温の上昇とともに減った新規感染者数が9月末まで低水準にとどまった。今年は感染力の極めて高いデルタ株が6月下旬以降、主流となっていることから、感染拡大の時期が大幅に早まっている。

7日間の発生数が25人を超える地域は314カ所と、ドイツ全体(412カ所)の76%を占める。同50人超は166カ所で40%。100人超も32カ所ある。

同数値が最も高い地域はノルトライン・ヴェストファーレン(NRW)州に集中している。子供の新規感染の急増が数値を強く押し上げており、20歳未満が全体の4割を占める。背景には新学期が始まり生徒・児童の接触が増えたほか、低学年を対象にPCR検査を行っていることがある。

7日間の発生数が全国で最も多い地域は同州のレバークーゼンで202.8人に達した。2位はブッパータール(179.4人)、3位はゾーリンゲン(177.1人)とすべてNRW州の地域が上位を占めている。日本人が多いデュッセルドルフも137.8人(11位)と多い。NRW州全体をみても同108.4人と、国内16州のなかで唯一、3ケタ台に上っている。

ワクチン接種を完了した人の割合(人口比)は59.2%に達した。少なくとも1回の接種を受けた人は64.2%に上る。ただ、接種拡大のスピードはこのところ極めて鈍く、集団免疫獲得に必要な水準(80%以上)は実現の目途が立っていない。

高齢者では接種比率が高いことから、重症化する患者は少なく、人口10万人当たりの直近7日間の新規入院者数は1.38人にとどまる。コロナ患者による集中治療病床の使用率も3.5%と低い。

これを踏まえ独政府は23日の閣議で、感染状況の判断と対策決定の最重要基準を7日間の感染数から「人口10万人当たりの直近7日間の新規感染者数に占める入院患者数の割合」へと改める方針を決めた。ワクチンが存在しない時期は7日間の感染数が医療崩壊を防ぐうえで重要な役割を果たしてきたが、接種率が高まった現在は新たな基準が必要となっている。7日間の発生数が50人以上となった場合、包括的な感染防止策を実施するとした感染防止法の規定を削除する法案を9月の連邦議会選挙前に成立させる意向だ。

12~17歳への接種をSTIKOが全面勧告

一方、RKI傘下の予防接種常任委員会(STIKO)は16日、新型コロナウイルス用ワクチンを12~17歳の子供に接種することを勧告すると発表した。これまでは安全性に関するデータが不足しているとして基礎疾患を持つ子供などに勧告対象を制限してきたが、新たなデータを分析した結果、基礎疾患のない子供でも接種のメリットがデメリットを上回るとの結論に達したことから、全面勧告に切り替えた。

欧州連合(EU)では現在、独ビオンテックと米ファイザーが共同開発した伝令RNA(mRNA)ワクチンと、米モデルナ製のmRNAワクチンを12歳以上に接種することが承認されている。

だがSTIKOは6月、12~17歳を対象とする治験の参加者数が少なく、正しいリスク評価を下せないとして、同年齢層の接種勧告対象を◇肥満や重症心不全、慢性腎不全など特定の基礎疾患を持つ◇家族や身の回りにワクチン接種を受けられない基礎疾患の持ち主やワクチンが十分な保護効果をもたらさない人がいる――子供に制限した。

ここにきて全面勧告へと切り替えたのは子供の副反応に関する知見が大幅に増え、科学的な判断を下せるようになったためだ。特に米国の約1,000万人を対象とする接種データを参考にした。ごくまれに現れる副反応である心筋炎については、適切な医療措置を取れば深刻化しないとしている。

12~17歳を対象とする接種は現実にはすでに本格的に行われている。一部の州で新学期が始まり集団感染の発生が懸念されること踏まえ、独16州の保健相が2日の会議で決議したためだ。STIKOが今回、勧告を決めたことで、子供の全面接種は科学的な“お墨付き”を得たことになる。

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