スマホなどの充電器を「USB-C」に統一、欧州委が法案発表

欧州連合(EU)の欧州委員会は23日、EUで販売されるスマートフォンなど携帯型電子機器に差し込む充電ケーブルの端子を「USB-C」と呼ばれるタイプに統一する法案を発表した。消費者の利便性向上と電子廃棄物の削減が狙い。充電器の端子統一に世界で初めて乗り出す。

指令案の形で発表した同法案は、スマホのほかタブレット端末、デジタルカメラ、ヘッドホン、ポータブルスピーカー、携帯型ゲーム機が対象。メーカーは現在の主流となっている充電ケーブルの端子「USB-B」「USB-C」「ライトニング」のうち、「USB-C」に対応する充電ポートの搭載を求められる。

このほか、消費者が電子機器購入時に、不要な充電器を購入しないで済むようにするため、機器と充電器をセットで買うかどうかを選択できるようにすることも盛り込まれた。

同法案は加盟国と欧州議会の承認が必要。成立してから2年間は移行期間とし、対応を迫られるメーカーに準備の時間を与える。

EUは廃棄物削減、消費者の利便性の観点から、携帯型電子機器の充電システム統一が必要として、2009年からメーカーに業界内で自主的に規格を統一するよう働きかけてきた。その結果、携帯電話用充電ケーブルの端子の規格は30種類から3種類まで絞り込まれた。それでも、完全統一に至っていないことから、規制による義務化に踏み切った。

同規制はEU域内で販売される製品に限って適用されるが、メーカーにとってEU市場だけに合わせるのは非効率的で、法案が成立すれば世界的に標準化が進みそうだ。

「USB-C」の端子は、米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマホなどに対応するもの。米アップルは主力のスマホ「アイフォーン」で独自規格の「ライトニング」を使っており、法案発表直後に出した声明で、規格統一はイノベーションを妨げると批判した。

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