工作機械・レーザー大手の独トルンプはこのほど、量子コンピューターチップの開発と生産に参入すると発表した。今後5年でフルに機能する製品を開発。量子技術を用いた計算機能を従来型のコンピューターで簡単に利用できるようにする。
開発に向けスタートアップ子会社Q.ANTに千万ユーロのケタ台の投資を行う。同子会社は通常のシリコンチップ上に特殊な光チャンネルを作る光チップ製造技術を開発した。この技術を用いることで、既存の大型コンピューターで最新の量子技術を用いた計算が可能になるという。コストのかさむ冷却と無振動環境の確保が不要なため、将来的には通常のデーターセンターで使用されるようになるとみている。
トルンプのペーター・ライビンガー最高技術責任者(CTO)は、「Q.ANTの開発者は量子の光学的な世界を電子的な世界に結合することに成功した」と述べたうえで、「我々の新たな投資は、メード・イン・ジャーマニーの量子コンピューターチップの開発・生産に向けた道を切り開くための必然的な次のステップだ」と強調した。
すでに速やかな実用化に向けて様々な産業の戦略パートナーと協議を行っている。生産はドイツ南部のウルムにある子会社トルンプ・フォトニック・コンポーネンツで行う考え。今後、準備を進めていく。