ドイツ連邦統計局は9月28日、8月のレンタカー料金が前年同月を53.4%上回ったことを明らかにした。コロナ禍が響いた格好。夏季休暇シーズンが始まる7月には前月比の上げ幅が35.8%に達した。
新型コロナウイルスの流行を受け公共交通機関の利用を避ける人が増えた。また、レンタカー会社はロックダウンで需要が減ったことから昨年、保有台数を大幅に減らした。さらに、コロナ禍からの急速な経済回復に半導体の供給が追い付かないことから、自動車メーカーは生産調整を余儀なくされ、レンタカー会社は発注した車両の納入待ちが続いている。
こうした状況を背景に今夏にレンタカー需要が急増したことから、料金が大幅に上がった。
独レンタカー業界団体BAVによると、レンタカー会社の4-6月期の車両保有総数は前年同期比で25%減少した。適正水準を7万5,000台、下回っている。BAVのミヒャエル・ブラベック専務理事は、レンタカー会社の多くがコロナ禍で業績が大幅に悪化したことを指摘。現在は売り上げの減少分を迅速に取り戻す必要があると述べ、料金高騰に理解を求めた。業界大手ジクストの料金はコロナ禍前の2019年を10~20%上回っている。
レンタカー会社は車両の大量に発注することから、1台当たりの調達価格は一般の消費者に比べて大幅に低い。メディア報道によると、自動車メーカーはこの事情を踏まえ、レンタカー会社向けの納入を後回しにしているもようだ。
ドイツにはレンタカー会社が計4,600社ある。雇用規模は3万2,900人(19年)で、業界売上高は330億ユーロに上る。