モバイルバンキングサービスを手がける独新興企業N26は9月28日、ドイツ金融サービス監督庁(BaFin)から制裁金の支払いを命じられていたことを明らかにした。同社はスマホアプリの操作で簡単に振替口座を開設できることを強みに急成長してきたが、資金洗浄対策が不十分だった。BaFinの警告にもかかわらず適切な対応を取らなかったことから、制裁金を科されたもようだ。
N26は425万ユーロの制裁金支払いを6月に命じられた。7月14日に支払いを済ませている。それから2カ月以上が経過した今になって制裁の事実を明らかにしたのは、BaFinが制裁の事実公表を計画していることが分かったため。公表後にマスコミに大きく報道される前に自ら発表することでイメージダウンを回避する狙いだ。
同社は2019年5月、資金洗浄対策が不十分だとして、BaFinから改善を指示された。具体的には資金洗浄法(GwG)の規定に基づき、◇疑わしい動きのある口座をITシステムが特定したにも関わらず、調査が手付かずになっている案件を処理する◇GwGに基づいて実施した犯罪対策を文書化する◇身元の疑わしい口座保有者を対象に認証手続きをやり直す◇犯罪対策を十分に行えるよう人的・技術的・組織的な措置を取る――の4点を速やかに実施するよう命じた。
N26が制裁金を科されたのは、これらの指示に従わず、対策をおろそかにし続けたためだ。同社は制裁金を支払った後の今年8月になってようやく、資金洗浄対策の役職を設置するなど措置を取っている。
手軽に口座を開設できるスマホ銀は資金洗浄の温床となりやすい。N26は事業の拡大を急ぐあまり、金融機関に義務づけられている犯罪対策がおろそかになっていたもようだ。