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2021/10/13

総合 - ドイツ経済ニュース

社民など3党が来週本交渉入りも、CDUは党の刷新へ

この記事の要約

ドイツの新政権樹立に向けた動きが大きく前進した。次期政権のキングメーカーとなった緑の党と自由民主党(FDP)は6日、第一党の社会民主党(SPD)と連立の予備交渉を行う方針をそれぞれ表明した。小さな政府を掲げるFDPは政策 […]

ドイツの新政権樹立に向けた動きが大きく前進した。次期政権のキングメーカーとなった緑の党と自由民主党(FDP)は6日、第一党の社会民主党(SPD)と連立の予備交渉を行う方針をそれぞれ表明した。小さな政府を掲げるFDPは政策方針が近い第二党のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)との連立実現を視野に選挙戦を展開してきたが、選挙で大敗したCDU/CSUが混乱し、安定した連立交渉を行えない懸念が強まったことから、SPDと交渉することにした。3党は順調に行けば15日に予備交渉を終え、来週にも本交渉入りする可能性がある。

9月下旬に行われた連邦議会選挙ではSPDが25.7%、CDU/CSUが24.1%を獲得した。両党とも緑の党、FDPの2党と連立を組み、与党第一党として次期政権を樹立したい考えのため、緑の党とFDPはキングメーカーの地位を手に入れた格好となっている。

両党はこの強みを踏まえ、連立交渉で共同歩調を取ることを取り決め、SPD、CDU/CSUとそれぞれ会談を実施。その感触を踏まえ今回、SPDと連立交渉することを決定した。

CDU/CSUはアーミン・ラシェット首相候補(CDU党首)の人気急落が響き、得票率で同党史上最低を記録した。これを受け党内ではラシェット氏の責任や世代交代を求める声が噴出。党が一体となって連立交渉を行うのは難しい状況にある。FDPと緑の党が同党とそれぞれ行った会談の内容が守秘義務に反してCDU/CSUの会議参加者からメディアにリークされたことは、そうした状況を反映したものと受け止められている。FDPのクリスティアン・リントナー党首は6日の記者会見で、「同盟(CDU/CSU)の政権に就く意思と一体性が社会的に議論されている」と不信感を示した。

ただ、CDU/CSU、FDP、緑の党の3党による政権樹立の可能性が完全に潰えたわけではない。SPDと緑の党、FDPの政権交渉は難航が予想されるためで、決裂した場合、FDPと緑の党はCDU/CSUと交渉する見通しだ。緑の党のロベルト・ハーベック共同党首は、SPDとの交渉を決めたことは「(CDU/CSU、緑の党、FDPの3党からなる)ジャマイカ政権の全面拒否ではない」と明言した。

SPD、緑の党、FDPは予備交渉を7日に開始し、11日と12日にはやや踏み込んだ協議を行った。今後は協議内容を文書化したうえで、15日に再協議。3党はこれを踏まえ、本交渉に入るかどうかをそれぞれ決議する。

交渉内容はこれまでのところ一切公表されていない。背景には緑の党とFDP、CDU/CSUが2017年に行った政権交渉の決裂がある。決裂の原因は複数あるものの、交渉参加者が協議内容を頻繁に公表し交渉先を批判したことで、話し合いを通した合意の実現が難しくなったのは確かだ。今回の政権交渉ではこの反省が教訓として生きており、交渉内容がメディアに漏れることもない。

CDU党首辞任へ

選挙で大敗し下野の公算が高まっているCDU/CSUでは政策と役員の刷新が行われる見通しだ。CDUのパウル・ツィーミヤク幹事長は11日開催した理事会後の記者会見で、大敗の原因を徹底的に解明するとともに、理事が任期終了を待たずに全員、辞任することを明らかにした。辞任する理事は次期理事に立候補できる。ただ、ラシェット党首は立候補しないことから、党首を退くのが確実となった。

これに先立つ9日、前党首のアンネッテ・クランプカレンバウアー国防相(59)とペーター・アルトマイヤー経済相(63)は連邦議会の比例区選挙で自らが獲得した議席を若手の党員に譲る意向を表明した。小選挙区ではともに当選できなかったことから、党内で高まっている世代交代論を踏まえ辞退を決めた。

ラシェット氏の人気は党員の間で以前から、党首の対立候補であったフリードリヒ・メルツ氏に比べ低かった。だが、執行部内にはメルツ氏の支持者が少なく、これがラシェット氏の党首選出につながった。

CDUの党首は約1,000人の代議員が出席する党大会で選出される。今回の選挙結果を受け、党内には党首選挙により多くの党員を参加させるべきだとの議論が浮上しており、党員投票が実施される可能性もある。ドイツでは来春に計3州で州議会選挙が行われることから、同党は次期党首を速やかに選出し、体制を立て直す必要がある。